「今の作業所、正直もう行きたくない」「辞めたいけれど、辞めたら次がなくなりそうで怖い」——B型作業所に通っている方やご家族から、こうしたお悩みを聞くことがあります。通い始めたときは前向きな気持ちだったのに、しばらくして「合わない」と感じるのは、決してめずらしいことではありません。この記事では、「辞めたい」と感じたときに、我慢し続けるのでも、いきなり辞めてしまうのでもない、いくつかの選択肢を整理します。
「辞めたい」の理由を、まず3つに分けてみる
「辞めたい」という気持ちの中身は、人によってさまざまです。ひとまとめにせず、どれに近いかを考えてみると、次の一手が見えやすくなります。
- ① 人間関係がつらい……ほかの利用者さんとの距離感、スタッフの声かけや対応が合わない、など。
- ② 作業や環境が合わない……作業内容に興味が持てない、苦手な作業が多い、音やにおい・人の多さがしんどい、工賃や通う距離が気になる、など。
- ③ 体調やペースが合わない……通う日数や時間が今の体調には多すぎる、朝がつらい、疲れが翌日まで残る、など。
①〜③のどれかによって、「今の事業所の中で変えられること」なのか、「事業所そのものを変えたほうがいいこと」なのかが変わってきます。いくつも当てはまる場合もあります。
辞める前に、試してみてほしいこと
「辞める」は最後の選択肢として残しておき、まずは次のことを試してみるのもひとつの方法です。
- 通う日数・時間を見直してもらう……B型の利用は、一人ひとりの個別支援計画にもとづいて行われます。「週5日はしんどいので週3日にしたい」「午前だけにしたい」など、今の体調に合わせてペースを変えられないか、担当のスタッフやサービス管理責任者に相談してみてください。
- 作業や席を変えてもらえないか聞く……作業の種類が複数ある事業所では、担当を変えたり、静かな席に移ったりできることがあります。
- 第三者に間に入ってもらう……事業所に直接言いにくいときは、サービス等利用計画を作っている相談支援専門員や、市の障害福祉担当窓口に相談できます。事業所には苦情を受け付ける窓口を設けることが決められていますし、それでも解決しない場合は、都道府県の「運営適正化委員会」(大阪府では大阪府社会福祉協議会に設置)に相談することもできます。
事業所の良し悪しを見分けるポイントや、制度側のしくみについては「B型作業所 やばい」と検索したあなたへ——不安の正体と、良い事業所の見分け方でもご紹介しています。
それでも合わないときの「次の選択肢」
相談してみても合わないと感じるなら、事業所を変えることは、まったく悪いことではありません。大切なのは、空白の期間をできるだけ作らないように、次の行き先を先に探すことです。
- 別のB型事業所に移る……B型の受給者証は、お住まいの市町村が出すもので、特定の事業所だけに結びついたものではありません。新しい事業所と契約し直すことで利用を続けられることが多いですが、細かな手続きは市町村によって異なるため、相談支援専門員や市の窓口に確認しておくと安心です。今の事業所に通いながら、次の候補を見学することもできます。
- 別のサービスを考える……一般就労をめざしたい気持ちが強くなった方は就労移行支援、生活リズムを整えるところから始めたい方は自立訓練(生活訓練)など、今の状態に合う別のサービスが見つかることもあります。B型から一般就労へのステップはB型から一般就労は目指せる?にまとめています。
- 見学で「合うかどうか」を確かめる……次の事業所を選ぶときは、前の事業所で合わなかった点を、見学のときに具体的に質問してみてください。聞いておきたいことのリストは見学の服装は?何を聞けばいい?——B型見学の持ち物・質問リストで紹介しています。
よくあるご質問
- Q. B型作業所を辞めるとき、事業所にはどう伝えればいいですか?
A. 担当のスタッフやサービス管理責任者に、「辞めたい」と思っていることを伝えてください。直接言うのがつらいときは、相談支援専門員やご家族から伝えてもらうこともできます。理由をすべて話す必要はありませんが、体調やペースの問題であれば、通い方を変えることで続けられる場合もあります。 - Q. 事業所を変えるとき、受給者証はもう一度取り直す必要がありますか?
A. 受給者証はお住まいの市町村が発行するもので、特定の事業所だけに結びついたものではありません。多くの場合は、新しい事業所と契約することで利用を続けられますが、支給量や手続きの細かな点は市町村によって異なります。事前に相談支援専門員や市の障害福祉担当窓口に確認しておくと安心です。 - Q. 事業所の対応に納得できないとき、どこに相談できますか?
A. まずは事業所の苦情受付窓口に伝えることができます。事業所に言いにくい場合は、市の障害福祉担当窓口や相談支援専門員に相談できます。それでも解決しない場合は、社会福祉法にもとづいて都道府県に置かれている「運営適正化委員会」(大阪府では大阪府社会福祉協議会)に相談することもできます。 - Q. 今の事業所に通いながら、さくら福祉訓練所・さくら作業所を見学してもいいですか?
A. はい、大丈夫です。今の事業所に通いながら見学に来られる方もいらっしゃいます。見学・体験は無料で、「ほかの事業所と比べたい」というご相談も歓迎しています。ご家族だけでのご相談もできます。
「辞めたい」と思うのは、あなたが悪いからではありません。合う場所を探し直すことは、働く練習を続けるための大切な一歩です。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)では衣類の検品・仕分け・販売、箱折りやシール貼りなどの軽作業、絵や詩を描くアート活動に、さくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)ではお弁当作りや調理補助、お米の選別、箸袋入れなどの軽作業やパソコン練習に取り組んでいます。週1日・1日1時間からの通所ができ、約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられます。昼食は300円、送迎のご相談も承ります。見学・体験は無料で、ご家族だけでもお越しいただけます。(この記事は、障害福祉サービスの利用に関する一般的な情報提供です。事業所の変更や支給決定の手続きは市町村によって異なります。具体的な手続きについてはお住まいの市町村の障害福祉担当窓口や相談支援専門員に、体調については主治医にご相談ください。出典:厚生労働省「障害福祉サービスの利用について」、社会福祉法第82条・第83条(苦情の解決・運営適正化委員会)、大阪府社会福祉協議会「運営適正化委員会」)