「B型作業所って、作業しないでぼーっとしている人もいるらしい」「真面目に作業している人がいる横で、休んでいる人がいるのはおかしくない?」——インターネットで、そんな声を目にしたことがあるかもしれません。見学に来られた方からも、ときどき同じようなご質問をいただきます。この記事では、B型事業所で「作業のペースが人によって違う」のはなぜなのか、その理由を制度のしくみからやさしくご説明します。
B型は「雇用契約」ではないから、ペースを自分で決められる
就労継続支援B型は、会社のように雇用契約を結んで働く場所ではありません。障がいや体調などの理由で、雇用契約にもとづいて働くことが難しい方が、生産活動などの機会を通じて「働く力」を身につけていくための福祉サービスです。
- 出欠・作業時間・作業量は、利用者の自由……厚生労働省の通知では、B型の利用者が労働者として扱われないための留意点として、利用者の出欠、作業時間、作業量などが利用者の自由であることが挙げられています。
- 作業が終わらなくても罰はない……同じ通知では、作業量が予定の日までに終わらなかった場合でも、工賃の減額などの制裁を課さないことも示されています。
- だから「人それぞれ」が前提……同じ部屋にいても、今日は1時間だけの方、しっかり作業に集中する方、体調を見ながら休み休み取り組む方がいるのは、B型ではむしろ自然なことです。
A型との違いについては、就労継続支援A型とB型のちがいをやさしく解説もご覧ください。
「作業していないように見える」時間の中身
外から見ると「何もしていない」ように見える時間にも、一人ひとりにとって意味があることがほとんどです。
- 体調を整えている……疲れやすさや気分の波がある方にとって、途中で休憩をとることは、長く通い続けるための大切な工夫です。
- 場に慣れている……通い始めたばかりの方は、まず「その場にいること」「人の気配に慣れること」から始めることがあります。見ているだけの時間も、立派な第一歩です。
- 別の活動に取り組んでいる……事業所によっては、軽作業だけでなく、アート活動や、作業の準備・片付けなど、いろいろな役割があります。
- 人と関わる練習をしている……スタッフやほかの利用者さんと話したり、困ったときに声をかけたりすることも、働くうえで大切な練習です。
さくらでの実際の1日の過ごし方は、B型事業所の1日はこんな流れでご紹介しています。
「ペースが自由」は「何もしなくていい」ではありません
ペースが人それぞれだからといって、目標がないわけではありません。B型では、サービス管理責任者が本人と話し合いながら「個別支援計画」をつくり、一人ひとりの目標と支援の内容を決めていきます。
- 目標は「その人にとっての一歩」……「週1日通えるようになる」「午前中は作業を続けられるようになる」「新しい作業を1つ覚える」など、目標は人によってまったく違います。
- 周りと比べなくて大丈夫……ほかの人のペースが気になって落ち込んだり、逆にイライラしたりするときは、遠慮なくスタッフに伝えてください。席の配置や作業の組み合わせを工夫できることがあります。
- 見学では「ペースの考え方」を聞いてみる……事業所によって、支援の考え方や雰囲気は違います。見学のときに「体調が悪い日はどうすればいいですか」と聞いてみると、その事業所の考え方がよくわかります。不安の正体と良い事業所の見分け方は「B型作業所 やばい」と検索したあなたへにまとめています。
よくあるご質問
- Q. B型作業所で、作業をしない日があってもいいのですか?
A. B型は雇用契約を結ばない福祉サービスで、厚生労働省の通知でも、出欠や作業時間、作業量は利用者の自由であることが示されています。体調が悪い日は無理をせず、スタッフに相談しながら休憩をとったり、できる範囲の作業に取り組んだりして大丈夫です。一人ひとりの目標は個別支援計画で話し合って決めていきます。 - Q. 作業のペースが遅いと、工賃は下がりますか?
A. 工賃の決め方は事業所ごとに定められており、作業時間や作業量に応じて支払われるのが一般的です。ただし、作業が予定どおりに終わらなかったことを理由に、罰として工賃を減らすような扱いはしないことが国の通知で示されています。工賃の決め方は、見学のときに事業所へ確認してみてください。 - Q. 周りの人のペースが気になって、集中できません。
A. そう感じるのは自然なことです。遠慮せずにスタッフに伝えてください。席の場所や作業の内容、休憩の取り方などを一緒に工夫できることがあります。 - Q. さくら福祉訓練所・さくら作業所では、自分のペースで通えますか?
A. はい。週1日・1日1時間からの通所ができ、体調に合わせてペースを決められます。まずは見学で、実際の作業の様子や雰囲気をご覧ください。見学・体験は無料で、ご家族だけでのご相談もできます。
「自分のペースでいい」とわかるだけで、通うことへのハードルがぐっと下がる方もいらっしゃいます。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)では衣類の検品・仕分け・販売、箱折りやシール貼りなどの軽作業、絵や詩を描くアート活動に、さくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)ではお弁当作りや調理補助、お米の選別、箸袋入れなどの軽作業やパソコン練習に取り組んでいます。週1日・1日1時間からの通所ができ、約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられます。昼食は300円、送迎のご相談も承ります。見学・体験は無料で、ご家族だけでもお越しいただけます。(この記事は、就労継続支援B型のしくみに関する一般的な情報提供です。工賃の決め方や支援の方針は事業所ごとに異なります。体調については主治医に、障害福祉サービスの利用については市の障害福祉担当窓口や相談支援専門員にご相談ください。出典:厚生労働省「就労継続支援事業利用者の労働者性に関する留意事項について」(平成18年10月2日 障障発第1002003号)、厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」)