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家族会議のすすめ——本人の気持ちを置き去りにしない進路の決め方【藤井寺・堺】

家族会議のすすめ——本人の気持ちを置き去りにしない進路の決め方【藤井寺・堺】

秋は、特別支援学校の進路面談や現場実習が重なり、「卒業後どうするか」を家族で話し合う機会が増える季節です。卒業後だけでなく、仕事を辞めたあとの次の居場所や、通う事業所を変えるかどうかなど、進路を決める場面は大人になってからも何度もあります。そのとき、心配のあまり親が先に答えを決めてしまい、本人は「うん」とうなずくだけ——そんな家族会議になっていないでしょうか。この記事では、国の意思決定支援の考え方をもとに、本人の気持ちを置き去りにしない進路の決め方を、会議の前・最中・あとの3つのステップで整理します。家族で話すときの全般的なコツは連休は家族で「これから」を話すチャンスでご紹介していますので、ここでは「進路」を決める場面に絞ってお伝えします。

なぜ「本人の気持ち」から始めるのか——国のガイドラインの考え方

障害者総合支援法第42条では、障害福祉サービスの事業者などに対して、障害のある人の意思決定の支援に配慮するよう努めることが定められています。また障害者基本法第23条でも、国や自治体が意思決定の支援に配慮しながら相談などの施策を行うことが定められています。

厚生労働省は令和8年9月、この考え方を具体的にまとめた「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」の第2版を示しました。支援者向けの指針ですが、基本的な原則には、家族で進路を話し合うときにも大切にしたいことが書かれています。

  • 自己決定の尊重が基礎——本人の意思や好み、価値観ができる限り反映されるようにすることが原則とされています。
  • 体験は「誘導」のためではない——いろいろな体験に触れることは自分で選ぶための土台になりますが、それは本人の選択肢を広げるためのもので、周りが望む方向へ導くためのものであってはならないとされています。
  • 「不合理」に見える選択も、まずは受け止める——周りの価値観から見て不合理に思える決定でも、他者の権利を侵害しない限り尊重するよう努めること、うまくいかなかったときも「間違いだった」ではなく試行錯誤や学びの過程として受け止める視点が大切だとされています。

ガイドラインには、障害の有無にかかわらず、人は体験したことのないことを選ぶのは難しいという一文もあります。「本人に聞いても答えられないから」と家族が決めてしまう前に、まず本人が選べるだけの材料をそろえることから始めてみてください。

進路の家族会議・3つのステップ

  1. 会議の前に——選択肢を「見える形」にそろえる
    ガイドラインでは、選択肢はできるだけ複数示し、比べるポイントをわかりやすく伝えること、話すだけでなく文字や写真、動画などを使うこと、可能なら短期間でも体験して感想を一緒に振り返ることが有効とされています。就職、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、生活介護など、候補になりそうな進路について、パンフレットや見学のときの写真を並べ、「通う日数」「作業の内容」「通う道のり」など比べるポイントを紙に書いておきます。実習や見学で感じたことは、特別支援学校の現場実習が始まる季節でご紹介した観察メモも材料になります。
  2. 会議の中で——本人の話から始め、親の「心配」は分けて伝える
    最初に「どこがよかった?」「どこがしんどかった?」と、はい・いいえで終わらない聞き方で本人の感想を聞きます。親の意見は、そのあとに。そのとき、「反対」ではなく「心配」として、具体的に伝えるのがポイントです。たとえば「毎日通えるか心配」なら、「最初は週2日から始められるか聞いてみよう」と、心配を「やめる理由」ではなく「工夫の材料」にすると、本人の希望を消さずに話が進みます。ガイドラインでも、決断を迫って本人を焦らせることは避けるべきとされています。その日のうちに決めなくて大丈夫です。
  3. 会議のあとで——「仮に決めて、試して、振り返る」
    本人の気持ちは、時間や経験、まわりとの関係によって変わることがあり、ガイドラインでも大切な決定は時間をおいて改めて確かめることが勧められています。「まずはここで体験してみる」と仮に決め、体験のあとにもう一度家族で振り返る。この繰り返しが、本人が納得して選ぶための近道です。

言葉で気持ちを伝えるのが難しい方の場合も、表情やしぐさ、体験中の様子に気持ちは表れます。いつもより笑顔が多かった場所、帰ってきてから話題にする作業など、日々の様子を記録しておくと、本人の気持ちを考える手がかりになります。卒業後の選択肢のうち、B型と生活介護で迷っている方は生活介護と就労継続支援B型の違いもご覧ください。

家族だけで抱えない——話し合いに加わってもらえる人たち

家族だからこそ、心配が先に立ったり、本人が親に遠慮して本音を言いにくかったりすることがあります。ガイドラインでも、本人の意思が周りの意見に置き換えられないよう、本人に直接サービスを提供する立場とは別の人が同席することも検討すべきとされています。進路の話し合いでは、次のような人に加わってもらうことができます。

  • 学校の進路担当の先生——在学中の方は、実習の様子や卒業後の選択肢について、学校での本人の姿をふまえて一緒に考えてもらえます。
  • 相談支援専門員——障害福祉サービスを使うときの「サービス等利用計画」を本人と一緒に作る専門職です。まだつながっていない方は、お住まいの市の障害福祉の窓口で相談できます。
  • 就労選択支援——令和7年10月から始まった、本人の希望や得意、配慮が必要なことを一緒に整理する新しいサービスです。くわしくは「就労選択支援」とは?をご覧ください。
  • 見学先・体験先の事業所の職員——体験中の本人の様子を、家族とは違う目線で伝えてもらえます。

よくあるご質問

  • Q. 本人の希望と、親の考えが違うときはどうすればいいですか?
    A. まずは本人がその進路を選んだ理由を、さえぎらずに最後まで聞いてみてください。そのうえで親の考えは「反対」ではなく「何が心配なのか」として具体的に伝え、その心配を減らす工夫(日数を少なくして始める、体験してから決める等)を一緒に考えると、話し合いが前に進みやすくなります。家族だけで話が平行線になるときは、学校の先生や相談支援専門員など第三者に入ってもらうのもおすすめです。
  • Q. 本人が「わからない」「どっちでもいい」と言うときは?
    A. 体験したことのないものを選ぶのは、誰にとっても難しいことです。選択肢を2つか3つに絞り、写真やパンフレットを見ながら比べたり、実際に見学・体験してから感想を聞いたりすると、本人の気持ちが見えてくることがあります。急いで答えを求めず、時間をおいて何度か聞いてみてください。
  • Q. 一度決めた進路を、あとで変えてもいいのですか?
    A. 変えて大丈夫です。本人の気持ちは経験や体調、環境によって変わることがあります。通い始めてから合わないと感じたときは、事業所や相談支援専門員、お住まいの市の窓口に相談してください。B型など障害福祉サービスの利用先の変更には手続きが必要な場合がありますので、具体的なことは窓口でご確認ください。
  • Q. 家族会議に、事業所の職員に入ってもらうことはできますか?
    A. 本人とご家族が望む場合は、相談支援専門員や通っている事業所の職員に話し合いの場に加わってもらえることがあります。まずは担当の相談支援専門員や事業所に相談してみてください。さくら福祉訓練所・さくら作業所でも、見学や体験のときに、ご本人とご家族と一緒に通い方を考えています。

進路は、一度で完璧に決めるものではなく、本人と一緒に試しながら選んでいくものです。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)では衣類の検品・仕分け・販売、箱折りやシール貼りなどの軽作業、絵や詩を描くアート活動に、さくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)ではお弁当作りや調理補助、お米の選別、箸袋入れなどの軽作業やパソコン練習に取り組んでいます。知的・身体・精神のどの障がいの方も利用でき、週1日・1日1時間からの通所ができます。約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられ、昼食は300円、送迎のご相談も承ります。見学・体験は無料で、ご本人と一緒でも、ご家族だけでもお越しいただけます。(出典:厚生労働省「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン(第2版)」(令和8年9月)、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 第42条、障害者基本法 第23条、厚生労働省「就労選択支援について」。いずれも2026年10月17日に確認。この記事は一般的な情報提供です。進路やサービス利用の手続きについては、在籍する学校の進路担当の先生、お住まいの市町村の障害福祉担当窓口、相談支援専門員など専門機関にご相談ください)

見学・体験のご相談はこちら

さくら福祉訓練所(藤井寺市)

072-926-8545

平日・祝 10:00〜16:30 / 土曜 10:00〜14:00

さくら作業所(堺市中区)

072-220-6027

平日 10:00〜16:30

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