「毎月の薬代が重たい」「自立支援医療を使うと、薬代はいくらになるの?」「どの薬でも安くなるの?」——精神科や心療内科に通っている方から、よくいただくご質問です。自立支援医療(精神通院医療)は、通院だけでなく薬局で受け取る薬代にも使える制度ですが、対象になる薬と、ならない薬があります。この記事では、堺市・藤井寺市の案内や厚生労働省の資料をもとに、薬代にしぼってしくみを整理します。制度そのものの概要は通院費が1割負担になる「自立支援医療」もあわせてご覧ください。
薬代は原則1割に、さらに「月の上限額」もあります
自立支援医療(精神通院医療)を使うと、通常3割の医療費の自己負担が原則1割になります。たとえば、3割負担で月6,000円かかっていた薬代であれば、1割負担では月2,000円になる計算です。さらに、世帯の所得に応じて、1か月に支払う額の上限(自己負担上限月額)が決まります。
- 生活保護を受けている世帯……0円
- 市町村民税が非課税で、本人の収入が年82万6,500円以下の世帯……2,500円
- 市町村民税が非課税で、本人の収入が年82万6,500円を超える世帯……5,000円
- 市町村民税が課税されている世帯……原則として医療保険の自己負担限度額が上限になります。ただし、統合失調症やうつ病・躁うつ病、てんかんなど、継続して医療費の負担が大きくなる「重度かつ継続」に当たる場合は、所得割の額に応じて5,000円または10,000円の上限が設けられます。
- 市町村民税の所得割が23万5千円以上の世帯……原則として対象外ですが、「重度かつ継続」に当たる場合は上限20,000円で利用できます(この取り扱いは令和9年3月31日までの経過措置です)。
この上限額は、指定を受けた病院・診療所、薬局、デイケア、訪問看護の費用を合計した額に対してかかります。月の途中で上限額に達したら、その月はそれ以上の自己負担はかかりません。支払った額は「自己負担上限額管理票」に記録していきます。
対象になる薬・ならない薬
自立支援医療(精神通院医療)の対象は、精神疾患の治療のために、通院で受ける医療です。薬についても、この考え方が基本になります。
- 対象になる薬……受給者証に記載された病院・診療所の主治医が、精神疾患の治療のために処方し、受給者証に登録した薬局で受け取る薬が対象です。
- 対象にならない薬①:ほかの病気の薬……風邪や胃腸の不調、高血圧、歯科の治療など、精神疾患の治療とは別の病気の薬は対象外です(通常の医療保険の負担割合になります)。
- 対象にならない薬②:登録していない薬局で受け取った薬……受給者証に登録していない薬局で薬を受け取ると、制度は使えません。薬局を変えたいときや追加したいときは、事前に変更の申請が必要です。
- 対象にならない薬③:保険がきかないもの・市販薬……医療保険の対象にならない薬や、ドラッグストアで買う市販薬は対象外です。
- 対象にならないもの④:入院……精神通院医療は通院のための制度のため、入院中の医療費は対象外です。
精神科の主治医が処方する薬でも、「この薬は対象になるの?」と迷ったときは、会計のときに薬局や医療機関に確認してみてください。
薬代で損をしないための3つの確認
- ① 受診・受け取りのたびに、受給者証と管理票を出す……出し忘れると制度が使えなかったり、上限額の管理がずれたりします。お薬手帳と一緒にしておくと忘れにくくなります。服薬の記録の工夫はお薬と体調の記録で「自分のトリセツ」を作るでもご紹介しています。
- ② 登録している薬局を確認する……引っ越しや通院先の変更で薬局が変わるときは、先に変更の申請をしましょう。
- ③ 有効期間(1年)が切れる前に更新する……受給者証の有効期間は1年です。期限が切れると、その間は通常の負担割合になってしまいます。期限が近づいたら、早めに更新の手続きをしてください。
申請・更新の窓口は、堺市にお住まいの方は各区の保健センター(美原区は美原区役所地域福祉課)、藤井寺市にお住まいの方は市役所の福祉総務課(障害福祉担当)です。休職中の家計全体を見直したい方は、休職中の生活費、どうする?も参考にしてください。
よくあるご質問
- Q. 自立支援医療を使うと、薬代はどれくらい安くなりますか?
A. 自立支援医療(精神通院医療)を使うと、通常3割の自己負担が原則1割になります。たとえば3割負担で月6,000円の薬代であれば、1割負担では月2,000円になる計算です。さらに世帯の所得に応じて、通院・薬局・デイケア・訪問看護を合わせた1か月の自己負担に上限額が設けられます。 - Q. 精神科以外の病気の薬も、自立支援医療で安くなりますか?
A. いいえ、対象になるのは精神疾患の治療のための通院医療です。風邪や胃腸の不調、高血圧など、ほかの病気の薬は対象外で、通常の医療保険の負担割合になります。判断に迷う薬については、薬局や医療機関にご確認ください。 - Q. いつもと違う薬局で薬を受け取っても、制度は使えますか?
A. 自立支援医療は、受給者証に登録した医療機関・薬局でのみ使えます。登録していない薬局では制度が使えないため、薬局を変えたり追加したりしたいときは、事前にお住まいの市区の窓口で変更の申請をしてください。 - Q. 自立支援医療を使いながら、さくら福祉訓練所・さくら作業所に通えますか?
A. はい、通院を続けながら通所されている方もたくさんいらっしゃいます。週1日・1日1時間からの通所ができ、通院日に合わせて通う日を決めることもできます。見学・体験は無料で、ご家族だけでのご相談もできます。
毎月の薬代の負担が軽くなると、治療を続けながら「働く練習」を始める余裕も生まれます。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)では衣類の検品・仕分け・販売、箱折りやシール貼りなどの軽作業、絵や詩を描くアート活動に、さくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)ではお弁当作りや調理補助、お米の選別、箸袋入れなどの軽作業やパソコン練習に取り組んでいます。週1日・1日1時間からの通所ができ、約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられます。昼食は300円、送迎のご相談も承ります。見学・体験は無料で、ご家族だけでもお越しいただけます。(この記事は、自立支援医療(精神通院医療)に関する一般的な情報提供です。対象となるかどうかや自己負担上限月額は、申請にもとづいて自治体が判断します。お薬については主治医・薬剤師に、申請や更新の手続きについては堺市の方は各区保健センター、藤井寺市の方は市役所福祉総務課にご相談ください。金額・基準は改定されることがあります。出典:堺市「自立支援医療(精神通院)制度について」、藤井寺市「自立支援医療(精神通院)」、厚生労働省「自立支援医療」)