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救急の日に始めたい——お薬と体調の記録で「自分のトリセツ」を作る【藤井寺・堺】

救急の日に始めたい——お薬と体調の記録で「自分のトリセツ」を作る【藤井寺・堺】

体調をくずして病院にかかったとき、あるいは救急車を呼んだとき。「いま飲んでいるお薬は何ですか」「持病はありますか」「アレルギーはありますか」——必ず聞かれるこの質問に、その場でスラスラ答えられる方は、実はそれほど多くありません。ふだんは答えられる方でも、しんどい時・怖い時には言葉が出てこなくなります。ご本人が答えられず、付き添ったご家族も「たしか白い錠剤を朝と晩に……」としか言えなかった、というお話をうかがうこともあります。9月9日は「救急の日」です。総務省消防庁と厚生労働省が、救急医療および救急業務に対する国民の正しい理解と知識を深めることを目的に、昭和57年に9月9日を「救急の日」と定めています。この日にちなんで、今日は「もしも」のときにあなたの代わりに話してくれる「自分のトリセツ」——お薬と体調の記録の作り方をご紹介します。

9月9日は「救急の日」——いちばん困るのは「伝えられないこと」

「救急の日」を含む1週間は「救急医療週間」とされていて、大阪府の案内によると令和8年度は9月6日(日曜日)から9月12日(土曜日)までがその期間にあたります。全国各地で応急手当の講習会などが開かれる1週間です。

とはいえ、この記事で取り上げたいのは心臓マッサージのやり方ではありません。障がいのある方やそのご家族にとって、救急の場面でいちばんの壁になりやすいのは「自分の情報を、正確に、短い時間で伝えること」だからです。

複数の医療機関にかかっていて、お薬が5種類も6種類もある。言葉で説明するのが苦手、または急に人に話しかけられると固まってしまう。過去にお薬で副作用が出たことがあるけれど、薬の名前は覚えていない——どれも、めずらしいことではありません。そして救急の現場では、その情報が次にどんな処置ができるかを左右します

ここで大きく助けになるのが、あらかじめ「紙とモノに語らせる」準備をしておくことです。しゃべらなくても伝わる形にしておけば、あなたが動けないときでも情報だけは届きます。

なお、救急車を呼ぶべきか迷ったときのために、大阪府内では全市町村の共同運営で「救急安心センターおおさか」という相談窓口が用意されています。電話は #7119(または 06-6582-7119)、365日24時間対応で、看護師が医師の支援体制のもとで相談に応じ、緊急性が高いと判断した場合はそのまま救急車が出動します。ただし、健康相談・介護相談や、現在かかっている病気の治療方針・お薬についての相談は受け付けていません。意識がないなど明らかに緊急の場合は、迷わず119番です。この番号も、次に紹介する「トリセツ」に一緒に書いておくとよいと思います。

「自分のトリセツ」に入れておきたい5つのこと

特別なノートは要りません。手帳の1ページでも、A4の紙1枚でも十分です。入れておきたいのは次の5つです。

① お薬の情報(=お薬手帳)
これがいちばんの中心です。日本薬剤師会の説明では、お薬手帳とは「使用しているお薬の名前や使い方などに関する情報を、過去のアレルギーや副作用の経験の有無と併せて、経時的に記録するためのもの」とされています。医師や薬剤師に見せることで、お薬の重複や飲み合わせのチェック、アレルギー歴・副作用歴の確認ができるようになります。ポイントは「病院ごとに分けず、1冊にまとめる」こと。精神科・内科・歯科でそれぞれ別の手帳を持っていると、いちばん大事な「飲み合わせ」が見えなくなってしまいます。紙の手帳のほかにスマートフォンの電子版(アプリ)もあり、こちらは「持って出るのを忘れた」が起きにくいという利点があります。

② 持病・診断名と、かかりつけの医療機関
病名、いつごろからか、通っている病院・クリニックの名前と電話番号。診察券をコピーして貼っておくのがいちばん確実です。

③ 苦手なこと・配慮してほしいこと
ここは、障がいのある方にとって特に大切な項目です。「大きな音が苦手」「急に体を触られると驚いてしまう」「言葉より、書いて見せてもらうほうが分かる」「一人にされると不安が強くなる」——こうしたことは、書いておかなければ伝わりません。ふだんの支援でうまくいっている関わり方があれば、それも一行添えておきます。

④ 緊急時の連絡先
ご家族、支援者、相談支援専門員、通っている事業所。2か所以上書いておくと安心です。

⑤ ふだんの体調のようす
「いつもの血圧はこれくらい」「ふだんの睡眠は◯時間」といった平常時の情報があると、「今どれくらい違うのか」が伝わります。次の章の記録が、ここに効いてきます。

できあがったら、コピーを2部作って、1部は玄関やカバンの中、もう1部はご家族が持つ——この形にしておくと、実際の場面で役に立ちます。ちなみに、災害への備えという観点での持ち出し準備については防災の日に考える——障がいのある方の災害への備え7つでもまとめていますので、あわせてご覧ください。

もうひとつ、知っておいていただきたい新しい仕組みがあります。総務省消防庁が進めている「マイナ救急」です。これは救急隊員が本人のマイナ保険証を活用して、過去に受診した病院や処方されたお薬などの医療情報を閲覧する取り組みで、令和7年10月1日から全国で実施されています。消防庁の公表では、令和8年度時点で離島等を除くおよそ99%の消防本部が対応しているとされています。とはいえ、これはあくまで「受診歴やお薬の記録」の話です。③の「配慮してほしいこと」までは、そこには載っていません。紙のトリセツを作る意味は、これからも残ります。

体調の記録は「毎日きちんと」より「続く形」で

体調記録というと、細かい表を毎日埋めなければいけないような気がして、それだけで気が重くなってしまう方がいらっしゃいます。でも、記録の目的は「あとから自分と支援者が振り返れること」ですから、続かない形式では意味がありません。

おすすめは、1日1行だけです。たとえば——

・起きた時間/寝た時間(これだけでも生活リズムの変化がよく見えます)
・その日の調子を3段階(◎/○/△ の記号だけでOK)
・気になったことを一言(「頭が重い」「人が多くてしんどかった」)

3つとも書けない日があっても、まったく問題ありません。空欄も情報です。「この週はほとんど書けていない」ということ自体が、あとから見ると意味を持ちます。

この記録が力を発揮する場面は、大きく3つあります。ひとつめは診察のとき。「最近どうですか」と聞かれて「まあまあです」としか言えなかった方が、記録を見せることで「実は先週から夜眠れていない」と伝えられるようになります。ふたつめはお薬の相談のとき。副作用かもしれないと感じることがあった場合、いつ・どんなふうに、を記録から示せると、主治医や薬剤師が判断しやすくなります。ただし、自己判断でお薬を減らしたり中止したりすることは絶対に避けてください。気になることがあれば、必ず主治医・薬剤師にご相談ください。

みっつめは制度の手続きのときです。障害年金の申請では、日常生活の状況が診断書や病歴・就労状況等申立書に書かれます。ふだんの記録があると、「調子の良い日のことだけを話してしまい、実際より軽く伝わってしまう」という、よくあるすれ違いを防ぎやすくなります。申請の流れについては障害年金の申請、何から始める?——診断書のもらい方と手続きの流れをご覧ください。通院費の負担を軽くする制度については通院費が1割負担になる「自立支援医療」にまとめています。

さくら福祉訓練所・さくら作業所では、通所されている方に日々の様子を無理のない範囲でうかがい、必要に応じて支援者間で共有しています。「記録を続けるのが苦手」という方も少なくないので、スタッフが一緒に形を考えることもあります。ひとりで完璧な記録を作らなくていい——そこは、通う場所があることの利点のひとつだと思っています。なお、この記事は一般的な情報の整理であり、診断や治療について述べるものではありません。ご自身の症状・お薬・体調については、主治医・薬剤師・相談支援専門員など専門機関にご相談ください。仕事と生活の両方をまとめて相談できる窓口については障害者就業・生活支援センターとは?もあわせてどうぞ。

よくあるご質問

  • Q. お薬手帳は、病院ごとに分けたほうがいいのでしょうか?
    A. 反対に、1冊にまとめるほうが安全です。日本薬剤師会の説明では、お薬手帳を提示することでお薬の重複や飲み合わせのチェック、アレルギー歴・副作用歴の確認ができるとされています。複数の医療機関のお薬が1冊に並んでいてはじめて、その確認ができます。分かれてしまっている場合は、薬局で「まとめたい」とお伝えいただければ、貼り替えなどの方法を一緒に考えてくれます。
  • Q. お薬手帳をよく忘れてしまいます。何かよい方法はありますか?
    A. スマートフォンの電子版お薬手帳(アプリ)を併用する方法があります。日本薬剤師会も紙の手帳に加えて電子版を案内しており、スマートフォンに情報を持ち歩けます。また、総務省消防庁の「マイナ救急」(令和7年10月1日から全国で実施)では、救急隊員がマイナ保険証を活用して受診歴やお薬の情報を確認できる仕組みも始まっています。ただし、「配慮してほしいこと」などは記録に含まれませんので、紙のメモも併せて持っておくことをおすすめします。
  • Q. 救急車を呼ぶべきか迷ったときは、どうすればいいですか?
    A. 大阪府内では全市町村の共同運営で「救急安心センターおおさか」が設置されており、#7119(または 06-6582-7119)で365日24時間、看護師が医師の支援体制のもとで相談に応じます。緊急性が高いと判断された場合は、そのまま救急車が出動します。なお、健康相談・介護相談や、治療方針・お薬についての相談は受け付けていません。意識がないなど明らかに緊急の場合は、迷わず119番に通報してください。
  • Q. 記録が続きません。書けない日があると意味がないのでしょうか?
    A. まったくそんなことはありません。空欄も立派な情報です。「この時期は書けないくらいしんどかった」ということが、あとから見ると分かります。1日1行、記号だけでも構いません。さくらに通ってくださっている方であれば、続けられる形をスタッフと一緒に考えることもできます。まずは1週間だけ、と決めて始めてみてください。

「もしも」の備えは、ひとりで抱えるものではありません。さくらでは、週1日・1日1時間からの通所ができます。障害年金と工賃は両方受け取ることができ、約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられます。見学・体験は無料、ご家族だけの見学も歓迎です。藤井寺・堺のどちらでもご相談ください。(出典:総務省消防庁「令和8年度『救急の日』及び『救急医療週間』」(昭和57年制定、9月9日)、大阪府「まもろう!救急医療 9月9日は救急の日です」(令和8年度の救急医療週間は9月6日〜9月12日、救急安心センターおおさか #7119・365日24時間)、総務省消防庁「あなたの命を守る『マイナ救急』」(令和7年10月1日から全国で実施)、日本薬剤師会「eお薬手帳3.0とは」。この記事は一般的な情報提供であり、診断・治療に関する助言ではありません。お薬の内容や体調について気になることがある場合は、自己判断で中止・変更せず、主治医・薬剤師・相談支援専門員など専門機関にご相談ください)

見学・体験のご相談はこちら

さくら福祉訓練所(藤井寺市)

072-926-8545

平日・祝 10:00〜16:30 / 土曜 10:00〜14:00

さくら作業所(堺市中区)

072-220-6027

平日 10:00〜16:30

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