「生活保護を受けていても、B型作業所に通えるの?」「工賃をもらったら、そのぶん保護費が減ってしまうの?」——見学に来られた方やご家族から、よくいただくご質問です。結論からお伝えすると、生活保護を受けながらB型を利用することはできます。そして、工賃は全額がそのまま保護費から差し引かれるわけではありません。この記事では、国の答弁書や厚生労働省の資料をもとに、工賃と生活保護の関係をやさしく整理します。
生活保護を受けながら、B型に通うことはできます
- 利用料の自己負担は0円……障害福祉サービスの利用者負担には、世帯の収入に応じた月ごとの上限額があり、生活保護を受けている世帯の上限額は0円です。そのため、B型の利用料はかかりません(昼食代など、サービス以外の実費は別になります)。利用料のしくみはB型事業所の利用料はいくら?でくわしくご説明しています。
- 通い始める前にケースワーカーへ相談を……B型に通うこと自体に特別な許可が必要なわけではありませんが、通所を始めると工賃という収入が生まれます。担当のケースワーカー(福祉事務所)に、通所を考えていることを早めに伝えておくと安心です。
工賃は「働いて得た収入」——基礎控除のしくみ
生活保護では、働いて得た収入などを「収入認定」し、その分を保護費から調整します。では、B型の工賃はどう扱われるのでしょうか。
- 工賃は「就労に伴う収入」として扱われます……令和3年の国会での質問に対する政府の答弁書では、就労継続支援B型の工賃は、生活保護で「就労に伴う収入」として認定し、勤労控除のうちの「基礎控除」が適用されるとされています。ほかにも働いて得た収入がある場合は、それらを合計した額に応じて基礎控除が適用されます。
- 基礎控除とは……働くことに伴う必要経費を補い、働く意欲を後押しするために、収入の一部を手元に残せるようにするしくみです。厚生労働省の資料では、基礎控除は収入額に応じて設定され、全額が控除される額は15,000円とされています。
- つまり、どうなる?……月の工賃が15,000円までであれば、基礎控除によって全額が控除されるため、保護費は減らず、工賃はそのまま手元に残ります。15,000円を超える部分も、収入額に応じて一部が控除されます。「工賃をもらったら、その分まるごと保護費が減る」わけではないということです。
なお、障害年金を受け取っている場合、年金は収入として認定され、その分の保護費が調整されます。一方で、障がいの程度によっては生活扶助に「障害者加算」がつくことがあります。年金と工賃の関係については障害年金をもらいながら、いくらまで働ける?もあわせてご覧ください。
毎月の「収入申告」を忘れずに
工賃がどれだけ少額でも、収入があったら福祉事務所に申告することが決められています。ここがいちばん大切なポイントです。
- 工賃明細は捨てずに保管……毎月の工賃明細(支払額がわかるもの)を保管し、収入申告書と一緒に提出します。提出の時期や方法は福祉事務所によって異なるので、ケースワーカーに確認してください。
- 申告しないと、後から返還を求められることも……申告しなかった収入があとでわかると、その分の保護費の返還を求められることがあります。「少額だから大丈夫」と思わず、必ず申告しましょう。申告していれば、基礎控除も正しく適用されます。
- わからないことは、そのつど聞く……交通費など通所にかかる費用の扱いや、工賃以外の収入との関係など、細かな点は世帯の状況によって変わります。迷ったときは自己判断せず、ケースワーカーに相談してください。
工賃に税金がかかるかどうか、ご家族の扶養との関係については、B型の工賃に税金はかかる?——非課税のしくみと扶養・確定申告の疑問にまとめています。
よくあるご質問
- Q. 生活保護を受けていますが、B型作業所を利用できますか?
A. はい、利用できます。生活保護を受けている世帯の障害福祉サービスの利用者負担の上限額は0円のため、B型の利用料はかかりません。通所を始めると工賃という収入が生まれるので、担当のケースワーカーに早めに伝えておくと安心です。 - Q. 工賃をもらうと、その分だけ保護費が減りますか?
A. 工賃は生活保護で「就労に伴う収入」として扱われ、基礎控除が適用されます。厚生労働省の資料では、基礎控除の全額控除額は15,000円とされており、月の工賃がこの額までであれば、保護費は減らずに手元に残ります。15,000円を超える部分も一部が控除されるため、工賃がそのまま全額差し引かれるわけではありません。具体的な金額は世帯の状況によって変わりますので、ケースワーカーにご確認ください。 - Q. 工賃が少ない月でも、収入申告は必要ですか?
A. はい、必要です。金額にかかわらず、収入があった場合は福祉事務所に申告することになっています。申告しなかった収入があとでわかると、保護費の返還を求められることがあります。工賃明細を保管し、ケースワーカーの案内にしたがって提出してください。 - Q. さくら福祉訓練所・さくら作業所にも、生活保護を受けながら通っている方はいますか?
A. 生活保護を受けながら通所されている方もいらっしゃいます。約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられます。お金のことが心配な方も、見学のときにお気軽にご相談ください。ご家族やケースワーカーの方とご一緒の見学も歓迎しています。
「お金のことが心配で通所に踏み出せない」という方も、しくみを知ると安心して一歩を踏み出せることがあります。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)では衣類の検品・仕分け・販売、箱折りやシール貼りなどの軽作業、絵や詩を描くアート活動に、さくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)ではお弁当作りや調理補助、お米の選別、箸袋入れなどの軽作業やパソコン練習に取り組んでいます。週1日・1日1時間からの通所ができ、約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられます。昼食は300円、送迎のご相談も承ります。見学・体験は無料で、ご家族だけでもお越しいただけます。(この記事は、生活保護と就労継続支援B型の工賃に関する一般的な情報提供です。収入認定や控除額、保護費の具体的な金額は世帯の状況によって異なり、福祉事務所が判断します。個別のことは担当のケースワーカー(福祉事務所)に、障害福祉サービスの利用については市の障害福祉担当窓口や相談支援専門員にご相談ください。控除額などの基準は改定されることがあります。出典:内閣「衆議院議員森山浩行君提出生活保護制度における就労継続支援B型の工賃に対する基礎控除に関する質問に対する答弁書」(令和3年6月22日)、厚生労働省「生活保護制度の概要等について」(社会保障審議会生活保護基準部会 参考資料・令和7年6月)、厚生労働省「障害者の利用者負担」)