制度解説

障害年金をもらいながら、いくらまで働ける?——工賃と年金の関係【藤井寺・堺】

障害年金をもらいながら、いくらまで働ける?——工賃と年金の関係【藤井寺・堺】

「障害年金をもらっているけれど、働いたら止められてしまうのでは」「いくらまでなら稼いでも大丈夫なの?」——見学に来られた方やご家族から、とてもよくいただくご質問です。生活の土台になるお金のことなので、不安になるのは当然です。実は、この「いくらまで」という問いへの答えは、受け取っている年金の種類によって変わります。そして多くの方にとっては、金額よりも「更新のときに働き方がどう見られるか」のほうが大切なポイントになります。この記事では、日本年金機構と厚生労働省の資料をもとに、そのしくみをやさしく整理します。

「いくらまで」の答えは、年金の種類で変わります

まず、ご自身(ご家族)の年金が次のどちらにあたるかを確かめてみてください。年金証書や、年金事務所で確認できます。

① 20歳より前に初診日がある「障害基礎年金」の方——所得制限があります

  • 20歳より前(国民年金に加入する前)に初診日がある障がいで受け取る障害基礎年金は、保険料を納めていない期間の障がいに対する年金のため、ご本人の前年の所得による制限があります。
  • 日本年金機構の案内では、前年の所得が3,761,000円を超えると年金額の2分の1が、4,794,000円を超えると全額が支給停止になります(扶養親族がいる場合は、1人につき38万円などが基準額に加算されます)。
  • 支給停止になる期間は10月から翌年9月までです。ここでいう「所得」は、収入そのものではなく、給与所得控除などを差し引いたあとの金額です。

② それ以外の方——働いた収入で年金が止まるしくみはありません

  • 20歳以降に初診日がある障害基礎年金や、会社員などの時期に初診日がある障害厚生年金には、所得による支給制限はありません。
  • 老齢年金には「働いて一定の収入があると一部が止まる(在職老齢年金)」というしくみがありますが、障害年金にはこのしくみはありません。

就労継続支援B型の工賃は、雇用契約にもとづく給料ではなく、月々の金額も①の基準に届くような水準ではないのが一般的です。そのため、「工賃が増えたから年金が止まる」ということは、実際にはまず考えにくいといえます。工賃と年金を両方受け取れるしくみについては、障害年金をもらいながらB型で働けますか?でもくわしくご説明しています。

本当に気をつけたいのは「金額」より「更新のとき」

障害年金の多くは、数年ごとに診断書を出して障がいの状態を確認してもらう「更新(再認定)」があります。このとき、働いている状況も判断の材料のひとつになります。ここで不安になる方が多いのですが、国の考え方は次のとおりです。

  • 働いている=すぐに良くなった、とは見ない……厚生労働省の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」では、働いていることをもって、ただちに日常生活の力が向上したものとはとらえず、仕事の種類や内容、勤務の状況、職場で受けている援助の内容、ほかの従業員との意思疎通の状況などを十分に確認したうえで判断する、とされています。
  • B型・A型などでの就労は、支援を受けていることが考慮される……同じガイドラインでは、就労継続支援A型・B型などの就労系障害福祉サービスや、障害者雇用制度による就労について、1級または2級の可能性を検討することが示されています。
  • だからこそ、主治医に「働き方の実際」を伝える……診断書には就労の状況を書く欄があります。通っている日数や時間、作業中にどんな配慮や声かけを受けているか、帰宅後や休日にどれくらい疲れが出るかなど、ふだんの様子をメモにして主治医に伝えておくと、実態に近い診断書になりやすくなります。

なお、等級を決めるのは日本年金機構であり、働き方だけで結果が決まるわけではありません。ガイドラインはあくまで判断の目安で、最終的には一人ひとりの状態を総合的に見て判断されます。これから申請される方は、障害年金の申請、何から始める?——診断書のもらい方と手続きの流れもあわせてご覧ください。

年金と工賃で、暮らしを組み立てるという考え方

令和8年度(令和8年4月分から)の障害基礎年金の額は、昭和31年4月2日以後生まれの方で、2級が年847,300円(月あたり約70,600円)、1級が年1,059,125円(月あたり約88,200円)です(お子さんがいる場合は加算があります)。障害厚生年金の方は、これに加えて、または別に、加入していた期間の報酬に応じた額が支給されます。

  • 年金は「生活の土台」、工賃は「プラスアルファと働く練習」……B型では、年金で暮らしの基本を支えながら、体調に合わせて少しずつ働く時間を増やしていく方がたくさんいらっしゃいます。
  • 税金や扶養のことも一緒に確認する……障害年金は非課税です。工賃に税金がかかるかどうか、ご家族の扶養への影響については、B型の工賃に税金はかかる?——非課税のしくみと扶養・確定申告の疑問にまとめています。
  • 迷ったら、ひとりで判断しない……「一般就労に挑戦したいけれど年金が心配」という場合も、年金事務所や相談支援専門員、社会保険労務士などの専門家に相談しながら、順番を決めていくことができます。

よくあるご質問

  • Q. B型で工賃が増えると、障害年金は減りますか?
    A. 20歳以降に初診日がある障害基礎年金や障害厚生年金には、所得による支給制限はありません。20歳より前に初診日がある障害基礎年金には所得制限がありますが、前年の所得が3,761,000円を超えた場合に2分の1が停止となる基準であり、B型の工賃だけでこの基準に届くことは、実際にはまず考えにくい水準です。ご自身の年金の種類がわからない場合は、年金事務所でご確認ください。
  • Q. 働いていると、更新のときに等級が下がったり、支給が止まったりしませんか?
    A. 厚生労働省の等級判定ガイドラインでは、働いていることだけで日常生活の力が向上したとは判断せず、仕事の内容や職場で受けている援助などを確認したうえで判断するとされています。就労継続支援B型などでの就労は、支援を受けながらの就労として考慮されます。ただし、等級は障がいの状態全体から日本年金機構が判断するため、結果を事前にお約束することはできません。ふだんの様子を主治医にしっかり伝えておくことが大切です。
  • Q. 20歳前の障がいで年金を受けています。所得の届け出は毎年必要ですか?
    A. 日本年金機構では、ご本人の前年の所得を毎年確認しています。多くの場合は市区町村からの情報で確認されますが、状況によっては書類の提出を求められることがあります。日本年金機構から届く書類は必ず目を通し、わからないことは年金事務所にお問い合わせください。
  • Q. 障害年金をもらっていても、さくら福祉訓練所・さくら作業所を利用できますか?
    A. はい、ご利用いただけます。障害年金を受け取りながら通われている方もたくさんいらっしゃいます。週1日・1日1時間からの通所ができ、体調に合わせてペースを決められます。お金のことが心配な方も、見学のときにお気軽にご相談ください。ご家族だけのご相談も大丈夫です。

「働いたら年金が止まるかもしれない」という不安から、一歩を踏み出せずにいる方は少なくありません。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)では衣類の検品・仕分け・販売、箱折りやシール貼りなどの軽作業、絵や詩を描くアート活動に、さくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)ではお弁当作りや調理補助、お米の選別、箸袋入れなどの軽作業やパソコン練習に取り組んでいます。週1日・1日1時間からの通所ができ、約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられます。昼食は300円、送迎のご相談も承ります。見学・体験は無料で、ご家族だけでもお越しいただけます。(この記事は、障害年金と就労に関する制度の一般的な情報提供です。個別の受給資格・等級・支給停止の判断は日本年金機構が行います。ご自身の年金の種類や所得制限の適用については年金事務所に、診断書や体調については主治医に、障害福祉サービスの利用については市の障害福祉担当窓口や相談支援専門員にご相談ください。金額・基準額は令和8年度のもので、改定されることがあります。出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」、日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」、厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」)

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さくら福祉訓練所(藤井寺市)

072-926-8545

平日・祝 10:00〜16:30 / 土曜 10:00〜14:00

さくら作業所(堺市中区)

072-220-6027

平日 10:00〜16:30

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