障がいのある兄弟姉妹と一緒に育った人のことを、福祉の世界では「きょうだい」とひらがなで呼ぶことがあります。子どものころは「しっかりしなきゃ」と思い、大人になってからは「親がいなくなったら、自分が全部みることになるの?」と不安になる——そんな気持ちを、誰にも話せずに抱えてきた方は少なくありません。この記事では、きょうだいが抱えやすい気持ちと、将来の不安との向き合い方、そして話せる場所について整理します。親御さんやご家族にも読んでいただきたい内容です。
「きょうだい」が抱えやすい気持ち
きょうだいの気持ちは人それぞれで、「大変だった」と感じる人もいれば、「ふつうの兄弟げんかをしてきただけ」と感じる人もいます。そのうえで、多くのきょうだいが口にする気持ちがあります。
- がまんしてきた、という気持ち
親の目が兄弟姉妹に向きがちで、「わがままを言ってはいけない」「手のかからない子でいよう」と自分の気持ちを後回しにしてきた。 - 言えなかった、という気持ち
友だちや職場、恋人に兄弟姉妹のことをどう話せばいいかわからない。話したあとの反応がこわい。 - 罪悪感
自分だけが進学や就職、結婚をしていいのか。兄弟姉妹にいらだつ自分を責めてしまう。 - 将来への不安
親が年をとったら、自分が生活や手続きのすべてを引き受けるのではないか。
どれも、おかしな気持ちではありません。兄弟姉妹を大切に思う気持ちと、しんどいと思う気持ちは、同時にあってよいものです。まずは「自分もこう感じていた」と気づくことが、話せる場所につながる一歩になります。
将来の不安は「ひとりで全部引き受ける」前提を外すことから
きょうだいの不安でいちばん大きいのは、「親なきあと」のことかもしれません。ここで大切なのは、きょうだいが親の役割をそのまま引き継ぐ必要はないということです。暮らしの場や日中の居場所、お金の管理、相談の窓口には、それぞれ福祉の制度やサービスがあります。きょうだいの役割は「全部やる人」ではなく、「本人を気にかけて、必要なときに支援につなぐ人」と考えることもできます。
- 日中の居場所
B型事業所などの通所先は、本人にとって家族以外の人と過ごす場所になります。家族だけで抱えない形を、元気なうちから少しずつ作っておけます。 - 相談の窓口を「共有」しておく
本人が使っているサービスや、相談支援専門員・市町村の窓口を、親御さんが元気なうちにきょうだいとも共有しておくと、いざというときに慌てずにすみます。 - 家族で話す機会をつくる
親御さんが何を考えているのか、きょうだいはどこまでなら関われるのか。言葉にして話し合うだけで、不安の中身がはっきりします。
親なきあとの準備については家族が集まったら話したい「親なきあと」——今日からできる4つの準備、お金のことは親なきあとのお金——今から準備できる4つのことでまとめています。
話せる場所——きょうだい会・ヤングケアラーの相談窓口
同じ立場の人と話すと、「自分だけじゃなかった」と気持ちが軽くなることがあります。障がいや病気のある兄弟姉妹をもつ人どうしが集まる「きょうだい会」は全国各地にあり、厚生労働省の研究班がまとめた「きょうだい支援団体取組事例集」(令和元年度)には、全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会など全国で活動する会や、オンラインで語り合えるサイトも紹介されています。お近くの会の情報は、市町村の障害福祉の窓口や社会福祉協議会でたずねることもできます。
また、家族の世話や介護を日常的に担っている子ども・若者は「ヤングケアラー」と呼ばれ、2024年6月の法改正で、国や自治体が支援に努める対象としてこども・若者育成支援推進法に明記されました。大人になったきょうだいも、相談の対象になる場合があります。
- 堺市にお住まいの方
堺市ユースサポートセンターが、ヤングケアラーや元ヤングケアラーなど49歳以下の方の相談に応じています。ヤングケアラーどうしが交流できる居場所も、月1回程度開かれています。18歳未満のお子さんとご家庭の相談は、各区の子育て支援課でも受け付けています。 - 藤井寺市にお住まいの方
大阪府がまとめた市町村の窓口一覧では、子ども・家庭のことはこども家庭センター(子育て支援課)、障害福祉サービスのことは福祉総務課が窓口とされています。
こころがつらい状態が続くときは、きょうだいご自身が医療機関や保健所などの相談先を頼ることも大切です。支える家族の休み方は支える家族が疲れてしまったらでご紹介しています。
この記事は一般的な情報提供です。窓口の対象や受付方法は変わることがあります。ご自身の場合は、お住まいの市町村の窓口や相談支援事業所など専門機関にご相談ください。
よくあるご質問
- Q. 大人になってからでも「きょうだい会」に参加できますか?
A. きょうだい会には、子どもを対象にしたものと、大人のきょうだいが中心の会があります。参加できる年齢や方法は会ごとに違うため、それぞれの会の案内で確認してください。 - Q. 親なきあと、きょうだいが一緒に暮らさなければいけませんか?
A. 必ずそうしなければならないわけではありません。グループホームなどの暮らしの場や、日中の通所先、相談支援など、家族以外の支えを組み合わせる方法があります。本人やご家族の状況に合わせて、相談支援専門員や市町村の窓口と一緒に考えてみてください。 - Q. 兄弟姉妹のことを親とどう話せばいいかわかりません。
A. いきなり結論を出そうとせず、「親御さんが今どう考えているか」を聞くところから始めてみてください。相談支援専門員など第三者に同席してもらうと、話しやすくなることもあります。 - Q. きょうだいだけで、作業所の見学や相談をしてもいいですか?
A. はい。さくら福祉訓練所・さくら作業所では、ご本人がいない「ご家族だけの見学・相談」も歓迎しています。きょうだいの方だけでのご相談もどうぞ。
「兄弟姉妹が通える場所を探しておきたい」「将来のために、まずは話だけ聞いてみたい」というきょうだいの方も、見学だけでお気軽にどうぞ。見学の流れは見学って何をするの?でご紹介しています。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)とさくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)では、見学・体験は無料で、ご家族だけの見学も歓迎です。週1日・1日1時間からの通所ができ、知的・身体・精神いずれの障がいのある方もご相談いただけます。約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられ、障害年金と工賃は両方受け取れます。昼食は300円、送迎のご相談も承ります。藤井寺では衣類の検品・仕分け・販売や箱折り・シール貼りなどの軽作業、堺ではお弁当作りや調理補助、お米の選別、箸袋入れ、パソコン練習などに取り組んでおり、絵や詩を描くアート活動もあります。(出典:厚生労働科学研究「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の発展に資する研究」班「きょうだい支援団体取組事例集」〔令和元年度〕、こども・若者育成支援推進法〔令和6年6月改正・ヤングケアラーの明記〕、堺市「ヤングケアラー」〔2025年4月1日更新〕、大阪府「ヤングケアラー支援に関する市町村の相談窓口」〔令和8年7月現在〕。いずれも2026年11月6日に確認。この記事は一般的な情報提供であり、個別の判断に関する助言ではありません。ご自身の場合は、お住まいの市町村の窓口や相談支援事業所など専門機関にご相談ください)