「この子のことは、自分がやらないと」「つらいなんて言ったら、本人に申し訳ない」——障がいのあるご家族を支えている方から、こうした言葉をよくお聞きします。毎日の声かけ、通院の付き添い、役所の手続き、夜中の見守り。気づけば、ご自身の睡眠や体調、楽しみは、いつも一番うしろに回っていないでしょうか。支える人が疲れてしまうのは、愛情が足りないからでも、心が弱いからでもありません。支える時間が長く、休む手立てが少ないほど、誰でも疲れは積み重なります。この記事では、ご家族が「自分を後回し」にしないために使える休むためのしくみと、ご家族自身が相談できる場所を、藤井寺・堺の窓口とあわせてご紹介します。パートナーとの関係に悩む方は「カサンドラ症候群」とご家族の心の守り方もあわせてご覧ください。
「まだ大丈夫」と思っているうちに気づきたいサイン
支えるご家族は、ご本人の変化にはとても敏感なのに、自分の変化には気づきにくいものです。次のようなことが続いていたら、それは「もう少し頑張る」合図ではなく、「少し休む・誰かに話す」合図と受け止めてください。
- 寝つけない、夜中や朝早くに目が覚める日が続いている
- 以前は楽しめていたことに、気持ちが向かなくなった
- ささいなことでイライラしたり、涙が出たりする
- 頭痛・肩こり・胃の不調など、体の不調が増えた
- ご本人のこと以外で、最近だれとも話していない
これは病気かどうかを判断するためのチェックではありません。ただ、こうした状態が2週間以上続く、日常生活に差し支えるといったときは、ご自身がかかりつけ医や心療内科・精神科に相談してください。ご家族が先に倒れてしまうと、ご本人の暮らしも立ち行かなくなります。自分のケアは、ご本人を支えることの一部です。
「休む」ためのしくみ——短期入所・日中一時支援・日中の居場所
「家族が休むためにサービスを使うなんて」と遠慮される方がいますが、国や市の制度には、はじめから家族の休息を目的に含めたものがあります。
- 短期入所(ショートステイ):障害者総合支援法では、「居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により」短期間の入所が必要な方に、施設で入浴・排せつ・食事の介護などを行うサービスと定められています(第5条第8項)。ご家族の病気だけでなく、冠婚葬祭や休養のための利用を案内している自治体もあります。利用には、市町村の窓口で障害福祉サービスの支給決定を受け、受給者証を持つことが必要です。
- 日中一時支援:市町村が地域生活支援事業として行うサービスで、日中に施設で一時的に過ごす場所を提供します。たとえば堺市の実施要綱では、目的を「障害者等の家族の就労及び一時的な休息の取得に寄与」することと明記しています。対象や利用の手続き・自己負担は市町村ごとに異なりますので、お住まいの市の障害福祉の窓口でご確認ください。
- ご本人の日中の居場所:ご本人が週に何日か通う場所を持つと、その時間はご家族にとっても自分の時間になります。就労継続支援B型は障がいの重さによる利用条件がなく、週1日・1日1時間からの通所もできます。
大切なのは、「限界になってから」ではなく「元気なうちに」一度使ってみることです。急に入院したときに初めての場所へ泊まるのは、ご本人にとっても大きな負担になります。親御さんが高齢になってきたご家庭の備えについては高齢の親と、障がいのある子の「これから」で、平時のショートステイ体験や緊急時のしくみを詳しくまとめています。
ご家族「自身」が相談していい場所
相談というと「本人のことを相談する場所」と考えがちですが、ご家族が自分のしんどさを話してよい窓口もあります。
- 保健所・保健センターの精神保健福祉相談:藤井寺市・羽曳野市・松原市・柏原市は大阪府藤井寺保健所、堺市は各区の保健センターで、精神保健福祉相談員や保健師が、ご本人だけでなくご家族からの相談にも応じています(無料)。「本人が受診したがらない」という段階でも相談できます。
- 家族会:同じ立場の家族が集まり、経験を分かち合う場です。堺市の相談窓口一覧には、こころの病のある方のご家族向けに、大阪府精神障害者家族会連合会の電話相談や、堺市内の家族会の相談窓口が掲載されています。「わかってもらえた」と感じられる場所があるだけで、気持ちが軽くなる方は少なくありません。
- 相談支援専門員・市の障害福祉の窓口:サービスの組み合わせを考えるとき、ご家族の負担や休息も含めて相談できます。「家族がもう限界に近い」ということも、遠慮なくそのまま伝えてください。
- きょうだい・若い家族の方へ:家族の介護や世話を担っている子ども・若者(ヤングケアラー)は、2024年6月の法改正で、国や自治体が支援に努める対象として法律に明記されました。学校の先生や市の窓口に話してかまいません。
どこに電話すればよいか迷ったときの入り口は、しんどい時の相談先まとめにも整理しています。また、家族だけで抱えている将来の不安を小さく分けて話し合う方法は将来の不安を小さく分ける方法をご覧ください。
よくあるご質問
- Q. 家族が「休みたいから」という理由で、ショートステイを使ってもいいのでしょうか?
A. 障害者総合支援法では、短期入所は「居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により」短期間の入所が必要な方のためのサービスと定められており、ご家族の休養や冠婚葬祭などでの利用を案内している自治体もあります。利用できる日数や理由の扱いは市町村の支給決定によりますので、お住まいの市の障害福祉の窓口や相談支援専門員にご相談ください。 - Q. 本人は病院に行っていません。家族だけで相談してもいいですか?
A. 相談できます。保健所や保健センターの精神保健福祉相談では、ご家族からの相談にも精神保健福祉相談員や保健師が応じています。ご本人の受診や診断の有無にかかわらず、まずはご家族が困っていることをそのままお話しください。 - Q. 自分の気分の落ち込みが続いています。どこに相談すればいいですか?
A. 眠れない、楽しめないといった状態が続いて日常生活に差し支えるときは、ご自身がかかりつけ医や心療内科・精神科に相談してください。受診をためらう場合は、保健所・保健センターの相談窓口でも話を聞いてもらえます。この記事は病気かどうかを判断するものではありませんので、専門機関にご相談ください。 - Q. 家族だけで見学や相談に行ってもいいですか?
A. もちろんです。ご本人がまだ外に出られない段階でも、ご家族だけで見学やご相談に来られる方はたくさんいらっしゃいます。ご本人が通える場所を知っておくことは、ご家族の安心にもつながります。
支える人にも、休む時間と話せる相手が必要です。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)とさくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)は、知的・身体・精神のどの障がいの方も利用できる就労継続支援B型の事業所です。衣類の検品・仕分け・販売、箱折りやシール貼りなどの軽作業のほか、絵や詩を描くアート活動にも取り組んでおり、週1日・1日1時間からの通所ができます。約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられ、昼食は300円、送迎のご相談も承ります。見学・体験は無料、ご家族だけの見学・ご相談も歓迎です。(出典:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〔平成17年法律第123号〕第5条第8項・第77条第3項、堺市障害者日中一時支援事業実施要綱、独立行政法人福祉医療機構 WAM NET「短期入所」、堺市「こころの相談窓口一覧」、大阪府藤井寺保健所 地域保健課の案内、こども家庭庁・厚生労働省「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)」に関する通知。いずれも2026年10月7日に確認。この記事は一般的な情報提供であり、個別の判断・診断や治療に関する助言ではありません。ご自身やご家族の状態については、主治医・保健所・市町村の窓口・相談支援専門員など専門機関にご相談ください)