うつ病などで会社を休職していて、「そろそろ戻りたいけれど、いきなりフルタイムで働けるか不安」「前と同じように通勤できるだろうか」と感じている方は少なくありません。復職の前に、生活リズムや体力、集中力を少しずつ取り戻すための支援を「リワーク」と呼びます。この記事では、大阪で利用できるリワークの種類と、B型事業所との違い、相談の順番を整理します。
「リワーク」には大きく2つの種類があります
リワークは「復職(Return to Work)」を縮めた言葉で、休職中の方が職場に戻る準備をするための支援です。実施している場所によって、大きく次の2つに分かれます。
- 地域障害者職業センターのリワーク支援
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が各都道府県に置いている職業センターの支援です。うつ病などの精神疾患で休職中の方が定期的に通所し、プログラムを受けながら復職に向けたウォーミングアップを進めます。本人だけでなく会社(雇用事業主)にも、職務内容や出勤ペースの設定について助言します。開始には本人・会社・主治医の3者の同意が必要で、支援期間は人ごとに決めますが、JEEDのパンフレットでは標準的に12週〜16週程度とされています。費用は本人・会社とも無料です。 - 医療機関のリワーク
精神科の病院やクリニックが、精神科デイケアなどの枠組みで行っているプログラムです。医療なので健康保険が使え、通院による精神医療(デイケアを含む)は自立支援医療(精神通院医療)の対象になります。内容や期間、利用できる条件は医療機関ごとに違います。
大阪では、大阪障害者職業センター(本所・大阪市中央区)が主にうつ病で休職している方を対象としたリワーク支援を行っています。堺市北区には南大阪支所があり、職場復帰のための相談に応じています。どちらも相談は予約制です。どの支援が合うかは、まず主治医と相談してみてください。
リワークとB型事業所は、何が違う?
リワークは「今の会社に戻ること」がゴールの支援です。一方、就労継続支援B型は、障害福祉サービスとして、一般の会社で働くことが今は難しい方が、自分のペースで働く経験を積む場所です。
- 休職中にB型などの福祉サービスを使えるのは、条件を満たす場合だけ
厚生労働省は、休職中の方が復職をめざして就労系の障害福祉サービスを使うことについて、①会社や地域の就労支援機関・医療機関による復職支援が見込めない、または難しい、②本人が復職を希望し、会社と主治医がサービスを使って復職するのが適当と判断している、③そのほうがより効果的で確実に復職につながると市区町村が判断した——の3つをすべて満たす場合に支給決定してよい、としています。 - 退職したあと、体と気持ちを整える場所としてのB型
会社を退職したあとや、すぐに次の仕事を探すのは負担が大きいと感じるときには、B型で通所のリズムを取り戻す、という選択肢もあります。働き方の目標は、主治医や相談支援専門員と一緒に考えていけます。
回復の段階ごとにやっていいこと・まだ早いことはうつ病の回復期に「やっていいこと・まだ早いこと」で、休職中の生活費を支える制度は休職中の生活費を支える「傷病手当金」でご紹介しています。
復職の前に、相談する順番
- 1. 主治医に「復職の準備を始めたい」と伝える
リワークの種類や始める時期は、体調を一番よく知る主治医と相談するのが第一歩です。職業センターのリワーク支援も、主治医の同意が前提になります。 - 2. 会社の復職のしくみを確かめる
休職期間の満了日、復職の手続き、産業医面談の有無、短時間勤務などの制度は会社によって違います。人事担当者や産業医に確かめておきましょう。 - 3. リワークの窓口に相談する
職業センターや、リワークを行っている医療機関に、利用の条件や開始までの流れをたずねます。
会社を辞めるかどうか迷っているときは、決める前に整理したいことを仕事を辞める前にでまとめています。
この記事は一般的な情報提供です。病状や復職の判断について助言するものではありません。ご自身の場合は、主治医や会社の産業医、障害者職業センター、お住まいの市町村の窓口など専門機関にご相談ください。
よくあるご質問
- Q. 職業センターのリワーク支援に費用はかかりますか?
A. 地域障害者職業センターの支援は、本人・会社とも無料です。医療機関のリワークは医療として行われるため、健康保険の自己負担があり、自立支援医療(精神通院医療)を使える場合があります。 - Q. リワークはどのくらいの期間かかりますか?
A. 職業センターのリワーク支援は人ごとに期間を決めますが、標準的には12週〜16週程度とされています。医療機関のリワークは、医療機関ごとに違います。 - Q. 会社に知られずにリワークを利用できますか?
A. 職業センターのリワーク支援は、本人・会社・主治医の3者の同意で始まるため、会社と一緒に進める支援です。医療機関のリワークの扱いは医療機関によって違うため、主治医やその医療機関にたずねてください。 - Q. 休職中に、B型事業所の見学だけしてもいいですか?
A. 見学や相談だけなら、休職中でも退職を考えている段階でもかまいません。実際に利用できるかどうかは、受給者証の手続きの中で市町村が判断します。
「復職か、別の働き方か、まだ決められない」という段階でも、見学だけでお気軽にどうぞ。見学の流れは見学って何をするの?でご紹介しています。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)とさくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)では、見学・体験は無料で、ご家族だけの見学も歓迎です。週1日・1日1時間からの通所ができ、知的・身体・精神いずれの障がいのある方もご相談いただけます。約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられ、障害年金と工賃は両方受け取れます。昼食は300円、送迎のご相談も承ります。藤井寺では衣類の検品・仕分け・販売や箱折り・シール貼りなどの軽作業、堺ではお弁当作りや調理補助、お米の選別、箸袋入れ、パソコン練習などに取り組んでおり、絵や詩を描くアート活動もあります。(出典:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「大阪障害者職業センター」、同「精神障害者総合雇用支援のご案内」、堺市「雇用・就労 相談機関」〔2022年4月18日更新〕、厚生労働省 事務連絡「一般就労している障害者が休職からの復職を目指す場合の就労系障害福祉サービスの利用に係る考え方について」〔令和6年10月25日〕、厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」。いずれも2026年11月7日に確認。この記事は一般的な情報提供であり、個別の判断に関する助言ではありません。ご自身の場合は、主治医や障害者職業センター、お住まいの市町村の窓口など専門機関にご相談ください)