「堺市 B型作業所」——そう検索してこのページにたどり着いた方は、きっと今、こんな状態ではないでしょうか。一覧サイトを見てもどこも同じに見える。見学を申し込むのが怖い。そもそも「作業所」と「B型」が同じものなのかも、よく分からない。そして、調べれば調べるほど手続きが複雑そうで、最初の一歩が踏み出せない。私たちのところへご相談に来られる方の多くが、この段階で数か月から、ときには数年を過ごしておられます。この記事では、堺市で就労継続支援B型(いわゆる作業所)を探し始めてから、実際に通い始めるまでを、堺市と厚生労働省が公表している情報にもとづいて順番に整理しました。調べる順番さえ分かれば、思っているほど複雑ではありません。
「作業所」=就労継続支援B型のこと——堺市での探し方と工賃の相場
まず言葉の整理から。日常会話で言う「作業所」は、制度上の名前では「就労継続支援B型事業所」を指していることがほとんどです。呼び方が違うだけで、同じ場所を指しています。ですから、検索するときは「堺市 作業所」でも「堺市 就労継続支援B型」でも、どちらでも構いません。なお、雇用契約を結んで最低賃金以上が支払われるA型との違いについては、A型とB型のちがいで詳しくご説明しています。
堺市内の事業所を「もれなく」知りたいときは、民間のまとめサイトだけでなく、市の公式な一覧をあたるのが確実です。堺市は、指定障害福祉サービス事業所等の一覧を「堺市相談支援ネット」のホームページ(sakai-soudan.net)で公開しており、月ごとに更新されたPDF版とExcel版がダウンロードできます。Excel版なら、サービス種別で絞り込んで、区ごとに並べ替えることもできます。「近所にこんな事業所があったのか」と気づかれる方は少なくありません。
次に、多くの方が最初に気にされる工賃について。厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」によると、就労継続支援B型の全国平均工賃月額は24,141円です。大阪府が公表している令和6年度の実績では、府内1,976事業所の平均工賃月額は19,747円とされています。ここで大事なのは、この数字が「フルタイムで毎日通った場合」の平均ではないということです。B型は、週1日から、1日1時間からでも利用できる制度です。通う日数が少なければ工賃も少なくなりますし、逆に体調が整って日数が増えれば増えていきます。平均額との差に落ち込む必要はまったくありません。工賃の考え方については大阪府の工賃実績から見えることもあわせてご覧ください。
そして、事業所の見比べ方です。パンフレットやウェブサイトの情報だけで決めるのは、正直おすすめできません。同じ「B型」でも、作業の内容、一日の流れ、スタッフとの距離感は、事業所ごとにまったく違います。数字や条件よりも、「その部屋にいる自分が想像できるかどうか」のほうが、続くかどうかを分けます。見学のときに何を見て、何を聞けばいいのかは、堺市でB型事業所を探すなら——見学で必ず確認したい5つのチェックリストに具体的な質問例つきでまとめていますので、見学前にぜひ目を通してみてください。
見学から利用開始までの流れ——堺市の申請窓口と受給者証
ここが、多くの方がつまずくところです。B型は「明日から行きます」で通えるサービスではなく、市から「受給者証」を交付してもらう必要があります。堺市が公表している手続きの流れは、次のとおりです。
(1)相談・支給申請
堺市では、身体障害者および知的障害者の方は各区の地域福祉課へ、精神障害者および難病患者等の方は各保健センターへ申請します(美原区は地域福祉課が窓口です)。さくら作業所のある堺市中区の場合、中保健福祉総合センター地域福祉課は072-270-8195、中保健センターは072-270-8100です。ご自身がどちらの窓口か迷うときは、どちらにかけても案内してもらえますので、心配はいりません。
(2)サービス等利用計画案の作成・提出
相談支援専門員(相談支援事業所の担当者)と契約し、「どんな暮らしをしたいか」「そのためにどのサービスをどれくらい使うか」をまとめた計画案を作って、申請窓口に提出します。ここは一人で書くものではなく、専門員と一緒に作るものです。
(3)支給決定
市が自宅を訪問して、生活や障がいの状況について面接調査を行います。その結果をもとに支給が決定され、受給者証が交付されます。なお、堺市の案内では、障害支援区分の認定は介護給付のサービスについて行われるとされています。
(4)サービス等利用計画の作成 →(5)契約 →(6)利用開始
支給決定にもとづいて正式な利用計画が作られ、ご自身が指定事業者の中から通いたい事業所を選んで申し込み、契約を結んでから利用が始まります。「市に決められた場所に行かされる」わけではありません。選ぶのはご本人です。利用が始まったあとも、相談支援事業所が状況を確認して見直してくれます。
実際の順番としては、「①気になる事業所を見学する → ②行きたい事業所が決まったら窓口へ申請する」という進め方をされる方が多いです。見学は受給者証がなくても、申請前でもできます。むしろ見学してから申請したほうが、計画案も具体的に書けます。受給者証そのものの見方や更新については、受給者証ってなに?申請から交付までの流れで詳しくご説明しています。
手続きにかかる期間は、申請の時期や調査の日程、相談支援事業所の状況によって変わります。「来月から通いたい」と思ったら、逆算して早めに窓口へ相談されるのが安心です。正確な見込みは、お住まいの区の窓口か、担当の相談支援専門員にご確認ください。
令和7年10月からの変更点とお金のこと——アセスメントと利用者負担
ここは、2025年(令和7年)10月以降に新しく調べ始めた方が必ず押さえておきたい点です。令和7年10月1日から「就労選択支援」という新しいサービスが始まり、それにともなって、新たにB型を利用する場合の要件が一部変わりました。
就労継続支援B型の対象となるのは、おおまかに次のいずれかに当てはまる方です。
① 就労経験がある方で、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった方
② 50歳に達している方、または障害基礎年金1級を受給している方
③ ①②に当てはまらない方で、就労選択支援などによるアセスメントを受け、就労面の課題等の把握が行われている方
つまり、①や②に当てはまる方は、これまでどおりアセスメントなしで利用できます。一方、たとえば20代・30代で就労経験がない方などは、B型を利用する前に「就労選択支援」を利用して、アセスメントを受けることが原則として必要になりました。これは「ふるい落とすための試験」ではなく、本人の希望や得意・不得意を一緒に整理して、B型が合っているのか、それとも別の道がよいのかを確かめるための時間です。制度そのものの中身は就労選択支援とは?でご説明しています。なお、実際の運用(どの事業所でアセスメントを受けるか、学校在学中の方の取扱いなど)は自治体によって案内が異なります。堺市での具体的な取扱いは、必ずお住まいの区の窓口か相談支援専門員にご確認ください。
最後に、お金の話を。「通うのにいくらかかるのか」が不安で動けない方は本当に多いです。障害福祉サービスの利用者負担には所得に応じた負担上限月額があり、生活保護を受給している世帯は0円です。そして、見落とされがちですが重要なのが、堺市の案内にあるとおり「18歳以上の場合は、本人とその配偶者のみを世帯としてみなす」という点です。つまり、親御さんと同居していても、親御さんの収入は原則として判定に入りません。「実家暮らしだから高くなるのでは」と心配して相談をためらっておられた方が、これを知って表情が変わる場面を、私たちは何度も見てきました。さくら福祉訓練所・さくら作業所でも、約9割の方が自己負担0円で通っておられます。所得区分ごとの詳しい金額は堺市「利用者負担」のページに掲載されていますので、B型の利用料はいくら?とあわせてご確認ください。
なお、この記事は制度と手続きの一般的な整理であり、個別の支給決定の可否や診断・治療について述べるものではありません。ご自身が対象になるかどうかの判断、体調やお薬に関することは、自己判断せず、堺市の窓口・相談支援専門員・主治医など専門機関にご相談ください。
よくあるご質問
- Q. 堺市にあるB型作業所の一覧は、どこで見られますか?
A. 堺市は、指定障害福祉サービス事業所等の一覧を「堺市相談支援ネット」のホームページ(sakai-soudan.net)で公開しています。月ごとに更新されたPDF版とExcel版があり、Excel版ならサービス種別や区で絞り込んで比べることができます。民間のまとめサイトは見やすい一方で掲載が一部に限られることがあるため、市の公式一覧とあわせてご覧になるのがおすすめです。 - Q. 受給者証を持っていませんが、見学はできますか?
A. できます。見学は受給者証の申請前でも受けられます。むしろ、見学して通いたい事業所が決まってから申請されるほうが、サービス等利用計画案も具体的に書けるため、多くの方がこの順番で進めておられます。さくら福祉訓練所・さくら作業所の見学は無料で、ご家族だけの見学も歓迎しています。 - Q. 申請はどこにすればいいですか。中区に住んでいます。
A. 堺市では、身体障害者および知的障害者の方は各区の地域福祉課へ、精神障害者および難病患者等の方は各保健センターへ申請します(美原区は地域福祉課)。中区の場合、中保健福祉総合センター地域福祉課は072-270-8195、中保健センターは072-270-8100です。どちらか迷う場合も、まずお電話いただければ適切な窓口を案内してもらえます。 - Q. 令和7年10月から「アセスメントが必要になった」と聞きましたが、全員が対象ですか?
A. 全員ではありません。就労経験があり年齢や体力の面で一般企業への雇用が困難な方、50歳以上の方、障害基礎年金1級を受給している方は、これまでどおりアセスメントなしで利用できるとされています。それ以外の方が新たにB型を利用する場合は、原則として就労選択支援などによるアセスメントを受けることが要件のひとつになりました。学校在学中の方には別途の取扱いもあり、運用は自治体によって案内が異なりますので、堺市の窓口や相談支援専門員にご確認ください。
調べる順番さえ決まれば、あとは一つずつです。まずは見学から——それだけで十分な一歩です。さくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)では、お弁当作りや調理補助、お米の選別、箸袋入れなどの軽作業、パソコン練習に取り組んでいます。週1日・1日1時間からの通所ができ、障害年金と工賃は両方受け取ることができます。約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられ、昼食は300円、送迎のご相談も承ります。見学・体験は無料、ご家族だけの見学も歓迎です。藤井寺のさくら福祉訓練所(072-926-8545)とあわせてご相談ください。(出典:堺市「障害福祉サービス利用の手続き」、堺市「問い合わせ窓口一覧」、堺市「利用者負担」、堺市「障害福祉サービス事業所」および堺市相談支援ネット、厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」、大阪府「工賃(賃金)実績の公表」(令和6年度実績)、厚生労働省の就労選択支援および就労継続支援B型の対象者に関する通知。この記事は一般的な情報提供であり、個別の支給決定や診断・治療に関する助言ではありません。ご自身の場合の取扱いは、堺市の窓口・相談支援専門員・主治医など専門機関にご相談ください)