「親元を離れて暮らしてみたい。でも、いきなりの一人暮らしは不安」「住む場所と、昼間に通う場所を、同時に整えたい」——こうしたご相談を、ご本人からもご家族からも、よくいただきます。グループホーム(共同生活援助)で暮らしながら、日中は就労継続支援B型に通う、という組み合わせは、制度のうえでも実際の暮らしのうえでも、ごく一般的なかたちです。グループホームに住みながらB型に通えますか?では「併用できます」という基本をお伝えしました。この記事ではその一歩先、どんな型のグループホームを選ぶか・お金はどう考えるか・手続きはどの順番で進めるか・その先の一人暮らしへどうつなげるかを、厚生労働省と藤井寺市・堺市の資料をもとに整理します。制度の細かな運用はお住まいの市や相談支援専門員にご確認ください。
グループホームは「夜の暮らし」、B型は「昼の活動」——役割が分かれているから組み合わせられます
共同生活援助(グループホーム)は、厚生労働省の説明では「主として夜間において、共同生活を営むべき住居において行われる相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の必要な日常生活上の援助」を行うサービスです。同省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームの資料(令和2年9月)では、具体的な利用者像として「単身での生活は不安があるため、一定の支援を受けながら地域の中で暮らしたい方」「施設を退所して地域生活へ移行したいが、いきなりの単身生活には不安がある方」などが挙げられ、支援内容には夜間の援助に加えて「利用者の就労先又は日中活動サービス等との連絡調整や余暇活動等の社会生活上の援助」が含まれると示されています。つまりグループホームは、はじめから「昼間はどこかに通う」ことを前提に組み立てられた住まいです。1つの住居の利用者数は平均6名程度、居室は原則1人部屋とされています。
グループホームには3つの型があります。同じ資料によると、介護サービス包括型は入浴や食事などの介護をそのホームの職員が行う型、外部サービス利用型は介護が必要なときに外部の居宅介護事業所に委託する型、日中サービス支援型(平成30年4月に新設)は職員が常時の介護を行い、日中もホームで過ごす方を支える型です。いずれも障害支援区分にかかわらず利用できます。「昼間はB型に通う」暮らしを考えている方は、介護サービス包括型か外部サービス利用型が中心になります。見学のときには、「日中は作業所に通いたいのですが、朝の送り出しや帰宅後の過ごし方はどうなりますか」「通所先との連絡はどのように取ってくれますか」と、昼と夜のつなぎ目を具体的に聞いてみてください。
お金の考え方——家賃補助・利用者負担・実費の3つに分けると見通せます
グループホームで暮らす費用は、3つに分けて考えるとわかりやすくなります。
- ① 家賃と、家賃の補助——家賃はホームごとに決まっています。これに対して、生活保護を受けている方と市町村民税非課税世帯の方には、国の制度として「特定障害者特別給付費(補足給付)」があり、月額1万円を上限に(家賃が1万円に満たないときは実際の家賃額まで)補助されます。藤井寺市のページでは、事業所が補助分を代理で受け取り、契約時の家賃から補助額を差し引いた額を利用者に請求するしくみだと説明されています。堺市の「利用者負担」のページでも、低所得の方を対象に月額1万円までの範囲で家賃を補助すると案内されています。申請には「利用者負担額減額・免除申請書」と、ホームが発行する「共同住居契約家賃額証明書」が必要です(藤井寺市の案内)。
- ② 障害福祉サービスの利用者負担——グループホームの支援そのものにかかる費用は、障害福祉サービス費として原則1割が自己負担ですが、所得区分ごとに月額の上限があり、堺市のページでは生活保護世帯と市民税非課税世帯は0円とされています。市民税課税世帯の方には所得に応じた上限(月額)が定められています。B型の利用者負担も同じしくみで、同じ月に複数のサービスを使っても、世帯の上限を超えて請求されることはありません(上限額管理)。約9割の方が自己負担0円でB型を利用しておられるのは、この区分によるものです。
- ③ 実費——食材料費・光熱水費・日用品費など、暮らしにかかる実費はホームごとに金額が異なり、補足給付の対象外です。契約前に重要事項説明書で、何にいくらかかるのかを必ず確認してください。B型側では、さくら福祉訓練所・さくら作業所の昼食は300円です。
収入の面では、障害年金と工賃は両方受け取れます(障害年金をもらいながらB型で働けますか?)。「年金+工賃」から「家賃(補助後)+実費+通院費など」を引いた形で、月の見通しを一度書き出してみると、ご本人もご家族も安心して検討を進められます。金額は人によって大きく違いますので、見学のときに「このホームで暮らす場合、月にいくらぐらいかかりますか」と率直に聞いて大丈夫です。
手続きの順番——同じ受給者証に「住まい」と「日中活動」の両方が載ります
グループホームもB型も、障害者総合支援法の「訓練等給付」に含まれるサービスです。市に申請して支給決定を受けると、1枚の障害福祉サービス受給者証に、住まい(共同生活援助)と日中活動(就労継続支援B型)の両方の支給決定が記載されます。申請の窓口は、藤井寺市にお住まいの方は市役所1階6番窓口の健康福祉部福祉総務課で、市のページでは「申請→調査員による聞き取り調査→審査会でサービスの程度を決定→事業所と契約」という流れが示されています。堺市にお住まいの方は各区役所が窓口で、身体障がい・知的障がいの方は地域福祉課、精神障がい・難病の方は保健センター、美原区の方はどちらの場合も地域福祉課が担当です(堺市の案内では、申請書を提出する前に必ず窓口へ相談するよう求められています)。B型の受給者証の基本的な取り方はB型を利用するには?受給者証の取り方と見学からの流れにまとめています。
「住まいと日中活動、どちらから決めればいいですか」という質問には、私たちは「先に昼間の居場所をつくってから、住まいを動かす」ことをおすすめしています。理由は2つあります。1つは、グループホームは昼間どこかに通うことを前提にしているため、通所先が決まっていると入居の相談が進みやすいこと。もう1つは、環境の変化を一度に2つ重ねると、体調を崩しやすいことです。まずは今の住まいから週1日・1時間でB型に通い始め、通所のリズムが安定してから、グループホームの見学・体験入居に進む。この順番なら、万が一住まいが合わなかったときも、「昼間の居場所」という軸は残ります。もちろん、ご家庭の事情で住まいを急ぐ必要がある場合は、相談支援専門員と一緒に両方を並行して進めることもできます。さくら福祉グループでは、グリンリーフ(藤井寺市)、スマイル・スマイルⅡ(堺市中区)、ホープ田辺(大阪市東住吉区)の4つのグループホームと、さくら福祉訓練所(藤井寺市)・さくら作業所(堺市中区)の2つのB型事業所を同じ法人で運営しており、住まいと通所先をひとつの窓口でご相談いただけます。藤井寺市は羽曳野市や柏原市と隣接していますので、近隣市にお住まいの方もお気軽にお問い合わせください。
その先の「一人暮らし」——グループホームは通過点にもなります
グループホームは、必ずしも「ずっと住み続ける場所」ではありません。令和6年4月の障害者総合支援法等の改正では、共同生活援助の支援内容として「一人暮らし等を希望する者に対する支援や退居後の相談等が含まれることを、法令上明確化する」とされました(札幌市による改正概要の説明)。つまり、グループホームで暮らしながら「いずれは一人で暮らしたい」と希望する方には、金銭管理や家事、通院、近所との付き合いなどを一緒に練習し、退居したあとも相談に乗ることが、グループホームの役割として位置づけられたということです。退居後に支援員が定期的に自宅を訪問してくれる「自立生活援助」というサービスもあります。一人暮らしを支える住まい・暮らし・医療・お金の制度の全体像は精神障害があっても一人暮らしはできる?——支えてくれる制度と順番にまとめています。
そして、この移行の途中でも、B型という「昼間の居場所」は変わらずそこにあります。住まいがご実家からグループホームへ、グループホームから一人暮らしへと変わっていっても、「週に何日か、決まった場所に通い、仲間と作業をして、工賃を受け取る」というリズムが続いていることが、暮らしの土台になります。住まいを変えるのは大きな一歩ですが、全部を一度に変える必要はありません。変えなくていいものを1つ持っておく——それがB型の役割だと、私たちは考えています。
よくあるご質問
- Q. グループホームに入るには、先にB型などの通所先を決めておく必要がありますか?
A. 法律上の条件ではありません。ただし、グループホームは「主として夜間」の支援を行い、日中活動サービスとの連絡調整を支援内容に含むサービスですので、昼間の過ごし方が決まっているとホーム側も受け入れの相談を進めやすくなります。私たちは、環境の変化を一度に重ねないために、まず週1日からB型に通い始め、リズムが安定してから住まいを動かす順番をおすすめしています。 - Q. 家賃の補助は誰でも受けられますか?
A. 特定障害者特別給付費(補足給付)の対象は、生活保護を受けている方と市町村民税非課税世帯の方で、月額1万円を上限に(家賃が1万円未満のときは実際の家賃額まで)補助されます。市民税が課税されている世帯の方は対象外です。申請には利用者負担額減額・免除申請書と、ホームが発行する家賃額の証明書が必要で、藤井寺市は福祉総務課、堺市は各区役所の担当窓口に提出します。詳しくは、お住まいの市にご確認ください。 - Q. 受給者証は、グループホーム用とB型用で2枚必要ですか?
A. 1枚です。障害福祉サービス受給者証には、支給決定を受けたサービスの種類と量が記載されますので、共同生活援助と就労継続支援B型の両方が1枚の受給者証に載ります。すでにB型の受給者証をお持ちの方がグループホームを追加する場合は、市の窓口で支給変更の申請をします。 - Q. 家族として、どこまで関わればよいでしょうか?
A. 見学や体験入居に一緒に行くこと、月のお金の見通しを一緒に書き出すこと、そして「合わなければ戻ってきていい」と伝えておくことが、ご本人の大きな支えになります。一方で、ホームでの暮らしぶりや作業所での様子については、ご本人が自分で説明する場面を少しずつ増やしていくと、将来の一人暮らしへの練習にもなります。ご家族だけで先に見学・相談にお越しいただくこともできます。
住まいと昼間の居場所は、別々に考えるより、組み合わせて考えたほうが、ずっと見通しが立ちやすくなります。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)では衣類の検品・仕分け・販売、箱折りやシール貼りなどの軽作業、絵や詩を描くアート活動に、さくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)ではお弁当作りや調理補助、お米の選別、箸袋入れなどの軽作業やパソコン練習に取り組んでいます。知的・身体・精神のどの障がいの方も利用でき、週1日・1日1時間からの通所ができます。約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられ、昼食は300円、送迎のご相談も承ります。グループホーム(グリンリーフ・スマイル・スマイルⅡ・ホープ田辺)とあわせたご相談も可能です。見学・体験は無料で、ご本人と一緒でも、ご家族だけでもお越しいただけます。(出典:厚生労働省「障害福祉サービスの内容」、厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム第14回(令和2年9月11日)資料2「共同生活援助(介護サービス包括型・外部サービス利用型・日中サービス支援型)に係る報酬・基準について」、札幌市「令和6年度障害者総合支援法等の改正について」(2026年6月4日更新)、藤井寺市「グループホームにかかる家賃補助(補足給付)について」(2023年6月15日更新)、藤井寺市「障害福祉サービス等について」(2026年10月6日更新)、堺市「利用者負担(障害福祉のしおり)」(2024年9月9日更新)、堺市「障害福祉サービス申請書等様式集」(2026年4月17日更新)。いずれも2026年10月26日に確認。この記事は一般的な情報提供であり、個別の支給決定・利用者負担・補助の可否はお住まいの市町村が判断します。手続きや金額は変更されることがありますので、申請前に市の窓口・相談支援専門員にご確認ください)