制度解説

工賃に確定申告は必要?——B型利用者と家族のための税金Q&A【藤井寺・堺】

工賃に確定申告は必要?——B型利用者と家族のための税金Q&A【藤井寺・堺】

「工賃をもらっているけれど、確定申告はしなくていいのでしょうか」「何も手続きをしていないのですが、あとで困りませんか」——年末が近づくと、利用者さんやご家族からこうしたご質問をいただきます。会社勤めのころは年末調整があったのに、B型では何も渡されない。それがかえって不安になる、というお気持ちはよくわかります。先にお伝えすると、B型の工賃だけで暮らしておられる方が、所得税の確定申告をしなければならない場面は多くありません。ただし、「確定申告」とは別に、市役所への申告が必要になることがあります。この記事では、国税庁と堺市・藤井寺市の案内をもとに、「自分は申告が必要なのか」をQ&A形式で整理します。工賃に税金がかからない理由や扶養の基準といった数字の詳しい説明はB型の工賃に税金はかかる?——非課税のしくみと扶養・確定申告の疑問にまとめていますので、あわせてご覧ください。

Q. そもそも確定申告は「誰が」するものですか?

国税庁は、確定申告が必要な方を「その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合で、その超える額に対する税額が、配当控除額と年末調整の際に控除を受けた住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人」と説明しています(タックスアンサーNo.2020)。かみくだくと、収入から必要経費や各種の控除を差し引いて、それでも納める税金が残る人が対象です。差し引いた結果が0円以下であれば、所得税の確定申告をする義務はありません。

B型の工賃は、雇用契約に基づく「給与」ではありません。税務上は事業所得または雑所得として扱われるのが一般的で、源泉徴収票の発行も年末調整もありません。そして、特定の相手に継続して労務を提供して受け取る収入には、「家内労働者等の必要経費の特例」があり、国税庁によると令和8年分(2026年分)以降は69万円までを必要経費とすることが認められています。同じページで国税庁は、この特例に該当する所得しかない方で、その年の総収入金額が173万円以下の場合は、本人に所得税は課されないとしています(タックスアンサーNo.1810・令和8年4月1日現在法令等)。

月々の工賃を12か月分合計して、173万円に届く方はまずいらっしゃいません。つまり、収入がB型の工賃だけ、あるいは工賃と障害年金だけという方は、所得税の確定申告が必要になることは通常ありません。障害年金はそもそも所得税の課税対象ではないため、この計算には入りません。年金と工賃の関係は障害年金をもらいながら、いくらまで働ける?で解説しています。なお、ご自身の工賃がこの特例にあたるかどうかを含め、最終的な判断は所轄の税務署にご確認ください。

Q. 工賃のほかに収入があります。私の場合はどうなりますか?

ここからは、よくあるケースごとに見ていきます。あくまで一般的な整理であり、個別の判断は税務署や市の窓口でご確認いただくことが前提です。

  • 工賃のほかに、アルバイトやA型の給与がある方。国税庁は、給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる方について、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える場合は確定申告が必要としています(タックスアンサーNo.1900)。裏を返せば、給与以外の所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告は原則として不要です。ただし注意点が2つあります。ひとつは、給与の収入金額が69万円以上ある方は、先ほどの必要経費の特例を使えないこと。もうひとつは、給与を2か所以上から受けている方は条件が変わることです。掛け持ちをされている方は、工賃の支払明細と給与の源泉徴収票をそろえて税務署にご相談ください。A型とB型で税金の扱いが異なる理由はA型とB型のちがいをご覧ください。
  • 給与から所得税が天引きされていて、年の途中で退職した方。年末調整を受けていない場合、税金を納めすぎていることがあります。国税庁によると、確定申告の義務がない方でも、源泉徴収された所得税額が年間の所得について計算した税額より多いときは、還付申告をすることで納めすぎた分が戻ります。還付申告はその年の翌年1月1日から5年間提出できます(タックスアンサーNo.2030)。
  • 医療費がたくさんかかった方。医療費控除は、支払った医療費から保険金などで補てんされる金額と、10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の方は総所得金額等の5%)を差し引いた額を所得から控除するしくみです(タックスアンサーNo.1120)。ただし国税庁は、源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額がない方は、申告しても還付される所得税額はないと案内しています。もともと所得税がかかっていない方の場合、医療費控除の申告をしても戻ってくる所得税はありません。ご家族が医療費を負担されている場合は、ご家族の側の申告で控除できることがありますので、税務署にご確認ください。

なお、生活保護を受けておられる方の「収入申告」は、税金の確定申告とはまったく別の手続きです。こちらは工賃と生活保護は併用できる?をご覧ください。

Q. 確定申告が不要なら、何もしなくていいのですか?——市役所への申告という、もうひとつの手続き

ここが、いちばん見落とされやすいところです。税務署への「所得税の確定申告」と、市役所への「市民税・府民税(住民税)の申告」は別の手続きです。所得税がかからない方でも、市への申告が必要になることがあります。

堺市は、1月1日現在市内に住所があり前年中に所得があった方は、毎年2月16日から3月15日まで(土曜日・日曜日・祝日のときは翌開庁日まで)に市民税・府民税申告書を提出するよう案内しています。さらに、所得がなかった方でも、次の場合は申告が必要としています。

  • 所得・課税証明書等の発行が必要な場合
  • 国民健康保険料、介護保険料、認定こども園等利用料、公営住宅の家賃等の算定など、各種制度の利用のために市民税・府民税の申告が必要とされている場合

一方で、堺市が「申告の必要はありません」としているのは、所得税の確定申告をする方、所得が給与のみで勤務先から市に給与支払報告書が提出されている方、収入が遺族年金や障害年金のみの方などです。先ほどの「給与以外の所得が20万円以下なら確定申告は不要」という扱いは所得税についてのものですので、給与のほかに工賃があって確定申告をしない方は、市への申告が必要かどうかを窓口でご確認ください。

藤井寺市も、市・府民税の証明書について「どなたの扶養にも入らず、また市・府民税の申告もされていない場合は、証明書の発行ができません」と案内しています。福祉サービスや医療費助成の手続き、公営住宅の申込みなどで「非課税証明書を出してください」と言われて初めて、申告していなかったことに気づく——というのは、実際によくあることです。ご家族の扶養に入っているか、どの制度を使っているかによって必要かどうかが変わりますので、「うちは申告が要りますか」と市の市民税担当窓口に一度聞いておかれると安心です。

申告や相談のときに手元にあると話が早いものを挙げておきます。

  • 工賃の支払明細(1月から12月までの分。年間の合計額がわかるもの)
  • 給与の源泉徴収票(アルバイトやA型の給与がある方)
  • マイナンバーカード、または番号確認書類と本人確認書類
  • 障害者手帳(障害者控除の確認のため)
  • 医療費の領収書や通知(医療費控除を考えている方)

この記事は一般的な情報提供であり、個別の税額や申告の要否を判断するものではありません。ご自身の場合の取扱いは、所轄の税務署、お住まいの市の市民税担当窓口、相談支援専門員など専門機関にご相談ください。

よくあるご質問

  • Q. 事業所から源泉徴収票が出ません。申告や相談のとき、何を持っていけばいいですか?
    A. B型は雇用契約を結ばないサービスのため、工賃は給与所得ではなく、源泉徴収票の発行も年末調整もありません。手続き漏れではありませんのでご安心ください。かわりに、毎月の工賃支払明細を1年分保管しておき、申告や相談のときにお持ちください。明細をなくされた場合や、年間の合計額の証明が必要な場合は、事業所にお申し出いただければ支払実績をご用意できます。
  • Q. 親の年末調整で、工賃をもらっている子どもを扶養に入れたままで大丈夫ですか?
    A. 国税庁は、家内労働者等の必要経費の特例に該当する所得しかない場合、その年の総収入金額が131万円以下であれば、扶養者の所得税額の計算上、配偶者控除あるいは扶養控除の対象になるとしています(令和8年分)。お子さんの収入がB型の工賃と障害年金だけであれば、通常はこの範囲に収まります。ただし、アルバイトなど給与がある場合は計算が変わりますので、勤務先の年末調整のご担当者や税務署にご確認ください。健康保険の被扶養者の基準は税金とは別の制度ですので、加入している健康保険にご確認ください。
  • Q. 以前、給与から税金が引かれたまま申告していない年があります。今からでも間に合いますか?
    A. 国税庁によると、納めすぎた所得税を取り戻すための還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。当時の源泉徴収票が手元にあれば、所轄の税務署にご相談ください。市民税・府民税の申告については、お住まいの市の市民税担当窓口にご相談ください。
  • Q. 申告はスマートフォンでもできますか。どこに相談すればいいですか?
    A. 所得税の確定申告は、国税庁ウェブサイトの「確定申告書等作成コーナー」からスマートフォンで行うことができます(e-Tax)。藤井寺市の案内によると、マイナンバーカードをお持ちでない方でも、税務署で発行される確定申告用のID・パスワードがあれば利用できます。相談先は、所得税については所轄の税務署(藤井寺市は富田林税務署、堺市は堺税務署の管轄です)、市民税・府民税については藤井寺市・堺市それぞれの市民税担当窓口です。金額の判断そのものは、税務署や市の窓口など専門機関にご相談ください。

税金や申告のことは、「こんなことを聞いていいのかな」と迷っているうちに時期が過ぎてしまいがちです。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)とさくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)では、工賃の支払実績のご用意や、相談支援専門員へのおつなぎといったお手伝いができます。衣類の検品・仕分け・販売、箱折りやシール貼りなどの軽作業のほか、絵や詩を描くアート活動にも取り組んでおり、週1日・1日1時間からの通所ができます。約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられ、昼食は300円、送迎のご相談も承ります。見学・体験は無料、ご家族だけの見学も歓迎です。(出典:国税庁タックスアンサー「No.2020 確定申告」「No.1810 家内労働者等の必要経費の特例」「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」「No.2030 還付申告」「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」〔いずれも令和8年4月1日現在法令等〕および「大阪国税局管内の税務署の所在地・案内」、堺市「申告と納税」、藤井寺市「市・府民税(課税・非課税・所得)証明書について」「確定申告はスマホで完結!!」。いずれも2026年10月5日に確認。この記事は一般的な情報提供であり、個別の税額・申告の要否・診断や治療に関する助言ではありません。ご自身の場合の取扱いは、税務署・市の窓口・相談支援専門員など専門機関にご相談ください)

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さくら福祉訓練所(藤井寺市)

072-926-8545

平日・祝 10:00〜16:30 / 土曜 10:00〜14:00

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072-220-6027

平日 10:00〜16:30

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