「B型で通う力がついてきた。次は“働く”に挑戦してみたい」「でも、いきなり普通の会社でやっていけるか不安」——そんなときに選択肢のひとつになるのが特例子会社です。特例子会社のしくみや認定の要件は特例子会社とは?で紹介しました。この記事では一歩進んで、国の最新の集計から見える特例子会社の姿と、B型から特例子会社をめざすときの準備・相談先・使える制度をまとめます。
数字で見る特例子会社——全国631社、約5万4千人が働いています
特例子会社は、企業が障がいのある方の雇用に特別の配慮をして設立し、国の認定を受けた子会社です。認定には、障がいのある方を5人以上雇用し全従業員の20%以上であること、そのうち重度身体障害者・知的障害者・精神障害者の合計が30%以上であること、作業施設・設備の改善や専任の指導員の配置など雇用管理を適切に行えることなどが求められます(大阪労働局「障害者雇用率制度における雇用率算定特例」)。
厚生労働省の「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」(令和7年6月1日現在)によると、特例子会社の認定を受けている企業は631社(前年より17社増)で、雇用されている障がいのある方は53,710.5人(前年は50,290.5人)でした。
- 知的障害のある方——26,739.5人。全体の約半数を占めています。
- 精神障害のある方——14,051.0人(前年は12,248.5人)。前年からの伸びがいちばん大きくなっています。
- 身体障害のある方——12,920.0人。
※短時間で働く方を0.5人と数えるなど、国の集計ルールにもとづく数字のため小数点が付いています。民間企業の法定雇用率は2026年7月から2.7%に引き上げられ、企業が障がいのある方の働く場を整える動きは続いています。
一般企業の障害者雇用枠とどう違う?向いているのはこんな方
特例子会社も、一般企業の障害者雇用枠も、どちらも雇用契約を結んで働く「一般就労」です(B型とのちがいや一般就労までの流れはB型から一般就労は目指せる?をご覧ください)。そのうえで、職場の雰囲気には次のような傾向があります(会社によって大きく異なります)。
- 特例子会社——障がいのある方がまとまって働くことを前提に、仕事の切り出し方や手順、設備、指導員の配置が考えられています。同じように配慮を受けながら働く同僚が多く、相談しやすい環境をつくりやすいのが特徴です。一方で、仕事の内容がある程度決まっていたり、通える範囲に会社がなかったりすることもあります。
- 一般企業の障害者雇用枠——障がいのない社員と同じ職場で、合理的配慮を受けながら働きます。会社や職種の選択肢は広がりますが、配慮の内容を自分から伝えていく場面が多くなります。
「決まった手順の作業をコツコツ続けるのが得意」「困ったときにすぐ相談できる人が近くにいてほしい」「はじめての就職なので、まずは配慮の厚い職場で働く経験を積みたい」——こうした方には、特例子会社が合っている場合があります。どちらが合うかは、体調や得意なこと、通勤のしやすさなどで変わりますので、支援者と一緒に考えていきましょう。
B型から特例子会社をめざすステップと、使える制度
B型から特例子会社への就職をめざすときは、たとえば次のような順番で進めます(あくまで一例です)。
- B型で「働く土台」をつくる——決まった曜日・時間に通えること、体調が悪いときに連絡できること、わからないことを質問できること。特例子会社でも大切にされる力を、無理のないペースで身につけていきます。
- 障害者手帳を確認する——国の障害者雇用率制度で数えられるのは、身体障害者手帳・療育手帳(または判定書)・精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方です。特例子会社の求人も手帳の所持を前提にしていることが多いので、早めに確認しておきましょう。
- 相談先とつながる——ハローワークの障がいのある方の専門窓口(専門援助部門)では、特例子会社を含む障害者求人の紹介を受けられます。仕事と生活の両方を相談できる障害者就業・生活支援センターや、職業相談・職業評価を無料で行う地域障害者職業センター(大阪府内は大阪障害者職業センター。堺市に南大阪支所があります)も頼れる相談先です。
- 見学・実習で職場を知る——求人票だけではわからない仕事の流れや雰囲気を、見学や実習で確かめます。B型の職員も、準備や振り返りをお手伝いします。
- トライアル雇用で「試しに働く」——ハローワーク等の紹介で一定期間試しに働き、お互いに合うかを確かめてから本採用をめざす「障害者トライアル雇用」という制度があります。精神障害や発達障害のある方には、週の所定労働時間10時間以上20時間未満から始め、3か月から12か月かけて週20時間以上をめざす「短時間トライアル雇用」もあります(実施するかどうかは会社によります)。
就職したあとも、ひとりで抱えこむ必要はありません。職場に慣れるまでの支えとして、B型事業所による就職後の支援や就労定着支援、ジョブコーチなどのしくみがあります。くわしくは一般就労した「あと」が不安?をご覧ください。就職の時期や働く時間について迷うときは、主治医や支援機関にご相談ください。
よくあるご質問
- Q. 障害者手帳がなくても特例子会社に就職できますか?
A. 国の障害者雇用率制度で数えられるのは手帳をお持ちの方のため、特例子会社の求人の多くは手帳の所持を前提にしています。手帳の取得を考えるかどうかは、主治医や市町村の窓口、支援機関に相談しながら決めていきましょう。なお、地域障害者職業センターの職業相談・職業評価は、手帳がなくても利用できます。 - Q. 特例子会社のお給料はどのくらいですか?
A. 特例子会社は雇用契約を結んで働く会社なので、最低賃金以上のお給料が支払われます。勤務時間や仕事の内容、会社によって金額は異なりますので、求人票や面接で確認しましょう。 - Q. B型に通いながら就職活動をしてもいいですか?
A. はい、B型に通いながらハローワークや支援機関に相談し、見学や実習に参加する方もいます。さくら福祉訓練所・さくら作業所でも、就職をめざす方の準備や相談先とのやりとりをお手伝いしています。 - Q. 就職がうまくいかなかったら、B型に戻れますか?
A. 一般就労したあとに体調などの理由で離職した場合も、改めてお住まいの市町村に相談し、支給決定を受けることでB型を利用できる場合があります。ひとりで悩まず、相談支援専門員や市町村の窓口にご相談ください。
「いつか働きたい」という気持ちは、通う日を重ねるなかで少しずつ形になっていきます。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)とさくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)は、知的・身体・精神のどの障がいの方も利用できる就労継続支援B型の事業所です。衣類の検品・仕分け・販売、箱折りやシール貼りなどの軽作業のほか、絵や詩を描くアート活動にも取り組んでおり、週1日・1日1時間からの通所ができます。約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられ、昼食は300円、送迎のご相談も承ります。見学・体験は無料、ご家族だけの見学・ご相談も歓迎です。(出典:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」〔令和7年6月1日現在〕、大阪労働局「障害者雇用率制度における雇用率算定特例(特例子会社、グループ認定など)」、厚生労働省「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「地域障害者職業センターのご案内」。いずれも2026年10月13日に確認。この記事は一般的な情報提供であり、個別の判断に関する助言ではありません。体調については主治医に、就職や制度の利用についてはハローワーク、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センター、お住まいの市町村の障害福祉の窓口など専門機関にご相談ください)