制度解説

家から出られなくても働く練習はできる——B型の在宅利用、実際の作業と1日の流れ【藤井寺・堺】

家から出られなくても働く練習はできる——B型の在宅利用、実際の作業と1日の流れ【藤井寺・堺】

「障害者 在宅ワーク データ入力」と検索すると、求人サイトの在宅ワークと、B型作業所の「在宅利用」という2つの情報が混ざって出てきます。どちらも「家で作業をする」点は同じですが、しくみも、目的も、申し込み先もまったく別のものです。B型の在宅利用が「通所が難しいと市町村が認めた方のための制度」であることは在宅利用の条件と、正しい使い方で解説しました。この記事ではその先、在宅利用では実際にどんな作業をするのか、1日がどう進むのか、藤井寺・堺ではどう申し込むのかを、2026年4月に厚生労働省が改めて示した考え方にそってご紹介します。

「在宅ワークの求人」と「B型の在宅利用」はどう違う?

求人サイトに出ている在宅ワークは、会社に雇われるか、仕事を請け負う契約を結び、仕上げた成果物に対して給料や報酬を受け取る「仕事」です。納期や作業量の管理は、基本的に自分で行います。一方、就労継続支援B型の在宅利用は障害福祉サービスの一つで、雇用契約は結びません。事業所から作業や課題を受け取り、支援員と連絡を取りながら取り組み、作業に応じた工賃を受け取ります。目的は成果物を納めることそのものではなく、「働くための知識や力を身につける練習」を自宅で続けることにあります。

この違いは、国も重く見ています。厚生労働省は2026年4月の事務連絡で、一部の事業所に「在宅支援と称して、就労に必要な知識・能力の向上に寄与しない自習を行わせている」といった不適切な運営が見られることを指摘し、要件を守るよう改めて求めました。裏を返せば、本来の在宅利用には、常に用意された作業メニューと、支援員による毎日のかかわりがあるということです。「家で好きなことをしていれば工賃がもらえる」という説明をする事業所があれば、制度の趣旨から外れています。

在宅利用の1日はこう進む——国の要件を利用者さんの目線で

在宅でB型のサービスを受けるとき、事業所が守らなければならない要件は、厚生労働省の留意事項通知に「ア」から「キ」として定められています。利用者さんの側から見ると、1日と1週間はおおよそ次のように進みます。

  • 毎日:支援員から1日2回は連絡がある——朝に体調と今日の作業を確認し、午後に進み具合や困りごとを聞く、といった形です。作業の内容やご本人の希望に応じて、2回を超えて連絡することもあります。事業所はその内容を日報に記録します。
  • 作業中:わからないことがあれば、いつでも聞ける——作業や課題で疑問が出たとき、訪問や連絡で随時支援できる体制が求められています。
  • 週に1回:評価の時間がある——支援員の訪問、ご本人の通所、または電話・パソコンなどを使って、週1回は取り組みを振り返ります。
  • 月に1日:顔を合わせて達成度を確認する——原則として月の利用日のうち1日は、支援員がご自宅を訪問するか、ご本人が事業所へ通い、訓練目標にどれだけ近づいたかを対面で確認します。
  • もしもの時:職員が駆けつけられる——緊急時に事業所の職員がすみやかに向かえる体制が必要とされています。国のQ&Aでは、緊急時の対応が確保できない遠方の利用者さんへのオンライン支援は原則として認められないとしています。

在宅で行う作業の中身は事業所によって異なります。データ入力や文字起こしのようなパソコン作業のほか、検品・袋詰め・箱折りといった手作業の材料を事業所から受け取って自宅で行う形もあります。どの作業ができるかは、事業所の運営規程に「在宅で実施する訓練内容・支援内容」として明記しておくことになっていますので、見学のときに「在宅で用意できる作業は何ですか」と具体的に聞いてみてください。大切なのは、国は「原則として対面での支援」を前提にしているということです。在宅利用は「ずっと家で完結する」ものではなく、訪問や通所と組み合わせて進めるものだと考えておくと、実際の運用とのずれが小さくなります。

藤井寺・堺での申し込み方と、通所につなげる考え方

在宅利用は、ご本人が希望し、かつ市町村が「在宅での支援効果がある」と判断した場合に認められます。厚生労働省は2026年4月の事務連絡で、「希望があれば認める」のではなく、本人の同意に加えて市町村があらかじめ効果を判断することが必要だと念を押しています。流れは、①ご本人と事業所が在宅利用について話し合う→②市町村に申請する→③認められれば受給者証に在宅利用の記載がつく、という順番です。

  • 堺市:お住まいの区の区役所(地域福祉課または保健センター)へ、「就労移行支援、就労継続支援(A型、B型)における在宅利用に係る申立書」と個別支援計画の写し、新規または変更の申請書類を提出します。審査で支援効果が認められると、受給者証の特記事項欄に「在宅利用可」と明記されます。適用は原則として申立書を提出した日以降で、さかのぼることはできません。更新のたびに申立書と個別支援計画の写しを出し直す運用です(申立書の自署・記名押印は廃止されています)。
  • 藤井寺市:市の障害福祉の窓口に、在宅利用を希望する旨とその理由を相談してください。取扱いは市町村ごとに定められているため、必要な書類と手順は窓口で確認するのが確実です。

自治体が「支援効果がある」と考える例として、公共交通機関や送迎を使っても通所そのものが難しい方、人の多い場所に強い恐怖があり、通所と在宅を組み合わせて少しずつ外出を増やし、最終的には通所に切り替えたい方、自宅のほうが落ち着いて作業でき成果が上がる方、といったケースが挙げられています。反対に、「体調不良の日に備えて念のため届け出ておく」という使い方は制度の趣旨に合わないとされ、その日の体調や天気で通所と在宅を自由に切り替えることもできません。在宅利用は、あらかじめ個別支援計画に位置づけて計画的に使うものです。

外に出ることへの不安が理由であれば、いきなり在宅利用を目指すより、週1日・1日1時間の通所から始めるほうが、結果として早く「働く練習」が進むことも少なくありません。送迎のご相談もできますので、外に出るのが怖いときの「働く練習」の始め方やひきこもりからの仕事の始め方もあわせてご覧ください。受給者証の取り方そのものは受給者証の申請の流れにまとめています。なお、厚生労働省は在宅支援のしくみを2027年度の報酬改定で見直すことを検討すると明らかにしており、今後、要件や運用が変わる可能性があります。

よくあるご質問

  • Q. 在宅利用なら、一度も事業所に行かずに済みますか?
    A. 国の考え方では、支援は原則として対面で行うことが求められ、月に1日は支援員の訪問かご本人の通所によって、顔を合わせて達成度を確認することになっています。訪問で代えられる場合もありますが、どこまで対応できるかは事業所の体制によりますので、見学や相談のときに確認してください。
  • Q. 自宅でデータ入力をした分の工賃は、求人の在宅ワークの報酬と同じですか?
    A. しくみが違います。B型の在宅利用は雇用契約ではなく障害福祉サービスで、事業所の生産活動として行った作業に応じて工賃が支払われます。金額は作業の内容と時間によって変わります。工賃と障害年金・生活保護などとの関係は、それぞれの記事でご確認ください。
  • Q. パソコンや通信環境は自分で用意するのですか?
    A. 事業所や市町村によって異なります。自治体によっては、利用を始める前に、在宅で提供できる作業の内容、連絡の方法、緊急連絡先、費用負担が生じる場合はその金額と根拠を書面で説明し、双方で確認する手順を定めています。用意するものと費用は、必ず利用前に書面で確認してください。
  • Q. ふだんは通所していて、体調が悪い日だけ在宅に切り替えることはできますか?
    A. 原則としてできません。在宅利用は、あらかじめ個別支援計画に位置づけ、市町村の決定を受けて計画的に使うものとされています。通所を続けると支援効果が下がる見込みが高いなど、長い目で見て在宅利用が必要な事情がある場合は、事業所と相談のうえ変更の手続きをとることになります。

「家から出られない」が「働く練習ができない」と同じ意味ではありません。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)とさくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)は、知的・身体・精神のどの障がいの方も利用できる就労継続支援B型の事業所です。衣類の検品・仕分け・販売、箱折りやシール貼りなどの軽作業のほか、絵や詩を描くアート活動にも取り組んでおり、週1日・1日1時間からの通所ができます。在宅利用についてはご状況により対応が異なりますので、まずはご相談ください。約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられ、昼食は300円、送迎のご相談も承ります。見学・体験は無料、ご家族だけの見学・ご相談も歓迎です。(出典:厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 事務連絡「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における在宅支援の要件遵守の徹底について」〔令和8年4月13日〕およびその添付資料〔「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」平成19年4月2日障障発第0402001号 2(3)・「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.8」令和7年3月31日 問2〕、堺市「就労継続支援事業等の在宅利用に係る令和4年2月以降の本市の取扱い等について」〔令和3年12月28日 堺障サ第2045号〕および堺市「就労継続支援事業等の在宅利用に係る本市の取扱い等」ページ、新潟市「【在宅支援】よくある問い合わせ」、日野市「就労系障害福祉サービス在宅利用取扱手順」〔令和7年10月1日〕。いずれも2026年10月8日に確認。この記事は一般的な情報提供であり、個別の判断・診断や治療に関する助言ではありません。在宅利用の可否はお住まいの市町村が判断します。ご自身の状態については、主治医・市町村の窓口・相談支援専門員など専門機関にご相談ください)

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さくら福祉訓練所(藤井寺市)

072-926-8545

平日・祝 10:00〜16:30 / 土曜 10:00〜14:00

さくら作業所(堺市中区)

072-220-6027

平日 10:00〜16:30

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