「忘れ物やミスが多い」「人との会話がいつもかみ合わない」——そんな悩みから、ネットの「発達障害セルフチェック」を試してみた方は少なくないと思います。点数が高く出て不安になった方も、「やっぱりそうだった」と少しほっとした方もいるかもしれません。大切なのは、セルフチェックは「入口」であって、答えではないということです。この記事では、チェックのあとに何をどんな順番で進めればいいのかを、藤井寺・堺で使える窓口とあわせてご紹介します。
セルフチェックの結果は「診断」ではありません
ネットで見かけるチェックリストの多くは、医療機関で詳しく話を聞くべきかどうかの目安をつかむための「スクリーニング(ふるい分け)」の道具です。大人のADHDについて世界保健機関(WHO)の研究グループが作った自己記入式のチェックリスト(ASRS)でも、専門家による診断に代わるものではないと説明されています。点数が高くても発達障害と決まったわけではなく、低くても困りごとがないという意味ではありません。
発達障害の診断は、今の困りごとだけでなく、子どもの頃からその特性が続いているか、生活や仕事にどのくらい影響しているか、ほかの病気(うつ状態や不安など)で説明できないか、といったことを医師が総合的にみて判断します。いまのところ、一つの検査だけで発達障害かどうかがわかる方法はありません。ですから、チェックの結果は「自分の困りごとを言葉にするためのメモ」として手元に残しておくのがおすすめです。結果だけで自分を決めつけたり、責めたりしないでください。
受診するなら——医療機関の探し方と準備
大人の発達障害の相談先は、精神科・心療内科です。ただし、発達障害の診断を行っている医療機関は限られ、子どもだけを対象にしているところもあります。初診の予約まで数か月待つことも珍しくありません。探すときは、次の方法が役に立ちます。
- 大阪府の「発達障がいに係る医療機関一覧」——大阪府は二次医療圏ごとに拠点医療機関を置いて医療機関ネットワークをつくり、公表に同意した医療機関の一覧を府のホームページで公開しています。藤井寺市・羽曳野市・松原市などにお住まいの方も、この一覧から探せます。診療内容や予約の要否は変わることがあるため、電話で「大人の初診を受け付けているか」「予約までどのくらいかかるか」を直接確認してください。
- 堺市の「発達障害診療初診前アセスメント」——堺市では、初診までの待ち時間を短くするため、受診予定の医療機関からの申し込みにより、心理検査とこれまでの経緯をうかがう面談を事前に行うしくみがあります。利用できるかどうかは、受診予定の医療機関にたずねてみてください。
- かかりつけの医師に相談する——すでに通っている精神科・心療内科があれば、まず主治医に相談し、必要に応じて紹介を受ける方法もあります。
受診の前に、次のものを準備しておくと、限られた診察時間で困りごとが伝わりやすくなります。
- 今の困りごとのメモ——いつ・どこで・どんなことで困るのか。セルフチェックの結果もここに添えておきます。
- 子どもの頃の様子がわかるもの——母子手帳、小学校・中学校の通知表(先生のコメント欄)など。手元になければ、ご家族に当時の様子を聞いておくだけでも参考になります。
- これまでの経過——学校や仕事で続けにくかったこと、ほかの医療機関の受診歴や飲んでいるお薬。
- 一緒に行ける人——子どもの頃を知るご家族に同行してもらえるか、医療機関に確認しておくと安心です。
病院に行くこと自体のハードルが高い方は、受診の前に発達障害者支援センターに相談することもできます。藤井寺市など大阪府内(大阪市・堺市を除く)にお住まいの方は大阪府発達障がい者支援センター「アクトおおさか」、堺市にお住まいの方は堺市発達障害者支援センター「アプリコット堺」が窓口で、診断がついていない「疑い」の段階でも相談できます(来所相談は予約制です)。センターは診断を行う場所ではありませんが、医療機関の情報や、これからの進め方を一緒に整理してもらえます。相談先の考え方は「ADHDかも」と思ったらでも紹介しています。
診断が出たとき・出なかったとき——支援の順番
受診の結果は人それぞれです。どちらの場合でも、使える支援はあります。
- 診断が出たとき——通院や服薬が続く場合は、医療費の自己負担を軽くする自立支援医療(精神通院医療)が使えることがあります。また、発達障害は精神障害者保健福祉手帳の対象に含まれており、初診日から6か月以上たつと申請できます。手帳でできることは精神障害者保健福祉手帳のメリットにまとめています。ただし、手帳や診断名を職場に伝えるかどうかは、ご本人が決めてよいことです。
- 診断が出なかった・はっきりしなかったとき——「グレーゾーン」と言われた場合も、困りごとがなくなるわけではありません。診断名や手帳がなくても相談できる窓口や、医師の意見書などをもとに市町村が判断して使える就労支援があります。くわしくは発達障害グレーゾーンで使える就労支援をご覧ください。
- 働き方を見直したいとき——いきなり職場を変えたり辞めたりする前に、主治医や支援者と「どんな環境なら力を出しやすいか」を整理するのがおすすめです。一般の職場で続けることがしんどい場合は、雇用契約を結ばずに自分のペースで働く練習ができる就労継続支援B型という選択肢もあります。利用には市町村が発行する受給者証が必要で、手続きは受給者証の申請の流れで解説しています。
順番に迷ったら、「①困りごとを書き出す→②相談先か医療機関につながる→③結果に応じて使える制度を選ぶ」と考えてみてください。全部を一度に進める必要はありません。今日できるのは、チェックの結果をメモに残すことと、相談先の電話番号を一つ控えておくことだけでも十分です。
よくあるご質問
- Q. セルフチェックの点数が高かったら、発達障害ということですか?
A. いいえ、セルフチェックだけで発達障害かどうかは決まりません。チェックリストは医療機関で詳しく相談したほうがよいかの目安をつかむためのもので、診断は医師が子どもの頃からの経過や今の生活への影響などを総合的にみて行います。結果は受診や相談のときに困りごとを伝えるメモとして活用してください。 - Q. 子どもの頃の通知表や母子手帳が見つかりません。受診できませんか?
A. 受診はできます。資料がそろわなくても、ご家族から当時の様子を聞いておく、覚えているエピソードを書き出しておくなど、できる範囲の準備で大丈夫です。必要なものは医療機関によって異なるため、予約のときに確認してください。 - Q. 診断を受けると、会社に知られてしまいますか?
A. 診断や手帳の情報が、ご本人の同意なく医療機関や役所から勤務先に伝えられることは通常ありません。職場に伝えて配慮を求めるかどうかは、ご本人が決めることができます。迷うときは主治医や支援機関に相談してください。 - Q. 診断がつかなくても、B型作業所は利用できますか?
A. B型の利用には市町村が発行する受給者証が必要です。障害者手帳がなくても、医師の意見書などをもとに市町村が必要性を認めれば利用できる場合があります。判断は市町村が行いますので、まずはお住まいの市町村の障害福祉の窓口や相談支援専門員にご相談ください。
「もしかして」と思ったその気持ちは、自分を知るための大切な一歩です。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)とさくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)は、知的・身体・精神のどの障がいの方も利用できる就労継続支援B型の事業所です。衣類の検品・仕分け・販売、箱折りやシール貼りなどの軽作業のほか、絵や詩を描くアート活動にも取り組んでおり、週1日・1日1時間からの通所ができます。約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられ、昼食は300円、送迎のご相談も承ります。見学・体験は無料、ご家族だけの見学・ご相談も歓迎です。(出典:大阪府「発達障がいの診断等にかかる医療機関ネットワーク」および「発達障がいに係る医療機関一覧」〔2026年8月20日更新〕、大阪府「大阪府発達障がい者支援センターアクトおおさか」相談窓口案内、堺市「発達障害診療初診前アセスメント事業」、堺市「精神障害者保健福祉手帳の交付について」、WHO成人期ADHD自己記入式症状チェックリスト(ASRS-v1.1)日本語版の説明、栃木県発達障害者支援センター「相談受付シート」、滋賀県立精神医療センター「大人の発達障害外来」の案内。いずれも2026年10月9日に確認。この記事は一般的な情報提供であり、個別の判断・診断や治療に関する助言ではありません。ご自身の状態については、主治医・医療機関・発達障害者支援センター・市町村の窓口など専門機関にご相談ください)