「会社から年末調整の書類が届いたけれど、障がいのある子どものことはどこに書けばいいの?」「手帳のコピーは付けるの?」——毎年この時期になると、ご家族からこうしたご質問をいただきます。年末調整の用紙は欄が細かく、しかも令和8年分は扶養の所得要件が変わる年です。先にお伝えすると、働いているご家族が、障がいのある配偶者やお子さん・親御さんを扶養している場合、年末調整で「障害者控除」を受けられることがあります。この記事では、国税庁の案内をもとに、ご家族の側から見た障害者控除の金額・対象・書き方を整理します。なお、B型に通うご本人が確定申告をする必要があるかどうかは工賃の確定申告は必要?——ケース別Q&Aに、工賃に税金がかからないしくみはB型の工賃に税金はかかる?——非課税のしくみと扶養・確定申告の疑問にまとめていますので、あわせてご覧ください。
障害者控除とは——金額は3段階
障害者控除は、納税者ご自身、または同一生計配偶者や扶養親族が所得税法上の障害者に当たる場合に、所得から一定額を差し引くしくみです。国税庁によると、控除額は次のとおりです(タックスアンサーNo.1160・令和8年4月1日現在法令等)。
- 障害者:27万円
精神障害者保健福祉手帳(2級・3級)や、身体障害者手帳(3級〜6級)の交付を受けている方、児童相談所などで知的障害者と判定された方(重度以外)などです。 - 特別障害者:40万円
精神障害者保健福祉手帳1級、身体障害者手帳1級・2級、知的障害で重度と判定された方などが当たります。 - 同居特別障害者:75万円
特別障害者である同一生計配偶者や扶養親族が、納税者ご本人・配偶者・生計を一にするその他の親族のいずれかと、同居を常況としている場合です。
このほか、65歳以上で、市町村長等から障害者に準ずると認定を受けた方も対象になります。また、身体障害者手帳をまだ持っていなくても、申請中であるなど一定の要件を満たせば対象になる場合があります(No.1186)。障害者に当たるかどうかは、その年の12月31日などの判定時点の状況で判断されます。どの手帳が自分に当てはまるのかは障害者手帳は3種類——身体・療育・精神の違いで整理しています。
ご家族の年末調整で控除を受けるための条件
ご家族の年末調整で障害者控除を受けるには、障がいのある方が、働いているご家族の「同一生計配偶者」または「扶養親族」に当たる必要があります。ここで知っておきたい点を3つ挙げます。
- 令和8年分は、扶養親族の所得要件が「62万円以下」に
国税庁のタックスアンサー(No.1180)では、扶養親族の要件を年間の合計所得金額58万円以下としたうえで、令和8年12月1日に施行され令和8年分から適用される金額は62万円以下と注記しています。年の初めに配られた令和8年分の申告書は改正前の書き方になっているため、年末調整のときに見直しが必要になることがあります。B型の工賃と障害年金だけで暮らしている方の多くは、この範囲に収まります(障害年金は所得税の課税対象ではありません)。アルバイトなどの給与がある方は計算が変わりますので、勤務先のご担当者にご確認ください。 - 16歳未満のお子さんも対象になる
16歳未満の扶養親族には扶養控除がありませんが、国税庁は、障害者控除は扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族がいる場合にも適用されるとしています。「扶養控除がないから書かなくていい」と思って空欄にしてしまうと、控除を受けられません。 - 「特定親族」は障害者控除の対象にならない
令和8年分の申告書の記載例では、19歳以上23歳未満で所得が扶養親族の要件を超える「特定親族」は扶養親族には当たらないため、障害者控除の対象にならないと注意書きがあります。
なお、同居特別障害者の「同居」に当たるかどうかは、暮らし方によって判断が分かれることがあります。グループホームなどで暮らしている場合は、勤務先のご担当者や税務署にご確認ください。グループホームでの暮らしについてはグループホームとB型作業所でもご紹介しています。
書き方——「扶養控除等(異動)申告書」の障害者の欄
障害者控除は、勤務先に出す「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記入して申告します。国税庁の記載例をもとに、書くところを整理します。
- ① 「障害者」の欄で、該当する区分にチェックを付ける
同一生計配偶者が該当する場合は配偶者の欄、扶養親族が該当する場合は扶養親族の欄で、「一般の障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」のいずれかにチェックを付けます。 - ② 「障害者又は勤労学生の内容」の欄に、該当する事実を書く
その方の氏名と、交付を受けている手帳の種類と交付年月日、障害の程度(等級)などを記載します。手帳を手元に用意してから書くと、日付や等級の書き間違いを防げます。 - ③ 16歳未満のお子さんは「住民税に関する事項」の欄にも記載
16歳未満の扶養親族は、申告書の「住民税に関する事項」の欄に記載します。障害者に当たる場合は、①②の障害者の欄にも忘れずに記入してください。
年の途中で手帳を取得した、等級が変わったなど、年の初めに出した内容から変わったときは、年末調整のときに異動として申告します。手帳の写しの提出を求められるかどうかは勤務先によって扱いが異なることがありますので、ご担当者の案内に従ってください。
年末調整に間に合わなかった、書き忘れていたという場合も、あきらめる必要はありません。確定申告をすれば控除を受けられますし、国税庁によると、納めすぎた所得税を取り戻す還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます(No.2030)。過去の年分について心当たりがある方は、当時の源泉徴収票を用意して税務署にご相談ください。手帳でどんな支援が受けられるかは精神障害者保健福祉手帳のメリットと申請方法もご覧ください。
この記事は一般的な情報提供であり、個別の税額や控除の可否を判断するものではありません。ご自身の場合の取扱いは、勤務先の年末調整のご担当者、所轄の税務署、市の市民税担当窓口など専門機関にご相談ください。
よくあるご質問
- Q. B型に通う子どもの工賃があっても、親の年末調整で扶養に入れて障害者控除を受けられますか?
A. 国税庁は、家内労働者等の必要経費の特例に該当する所得しかない場合、その年の総収入金額が131万円以下であれば、扶養者の所得税額の計算上、配偶者控除あるいは扶養控除の対象になるとしています(令和8年分)。お子さんの収入がB型の工賃と障害年金だけであれば、通常はこの範囲に収まり、扶養親族として障害者控除の対象になり得ます。アルバイトなど給与がある場合は計算が変わりますので、勤務先のご担当者や税務署にご確認ください。 - Q. 精神障害者保健福祉手帳の2級です。障害者控除はいくらになりますか?
A. 国税庁によると、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方は障害者に当たり、障害等級が1級の方は特別障害者に当たります。2級・3級の方は「障害者」で、控除額は27万円です。1級の方は特別障害者で40万円、同居を常況としている場合は同居特別障害者として75万円になります。 - Q. 去年までの年末調整で障害者控除を書き忘れていました。今からでも取り戻せますか?
A. 国税庁によると、納めすぎた所得税を取り戻すための還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。対象の年分の源泉徴収票と、手帳の交付年月日がわかるものを用意して、所轄の税務署にご相談ください。 - Q. 手帳の更新手続き中で、有効期限が切れています。控除は受けられますか?
A. 障害者に当たるかどうかは、その年の12月31日などの判定時点の状況で判断されます。手帳の種類や更新の時期によって扱いが変わることがありますので、手帳の交付状況がわかる書類を用意して、勤務先のご担当者や所轄の税務署にご確認ください。更新の手続きそのものは、お住まいの市の窓口にご相談ください。
年末調整の書類は、提出の期限が短く、つい後回しになりがちです。さくら福祉訓練所(藤井寺市林6-6-30/072-926-8545・平日と祝日10:00〜16:30、土曜10:00〜14:00)とさくら作業所(堺市中区堀上町158-4/072-220-6027・平日10:00〜16:30)では、工賃の支払実績のご用意や、相談支援専門員へのおつなぎといったお手伝いができます。衣類の検品・仕分け・販売、箱折りやシール貼りなどの軽作業のほか、絵や詩を描くアート活動にも取り組んでおり、週1日・1日1時間からの通所ができます。約9割の方が利用料の自己負担0円で通っておられ、昼食は300円、送迎のご相談も承ります。見学・体験は無料、ご家族だけの見学も歓迎です。(出典:国税庁タックスアンサー「No.1160 障害者控除」「No.1186 身体障害者手帳等の交付を受けていない人の障害者控除」「No.1180 扶養控除」「No.2030 還付申告」〔いずれも令和8年4月1日現在法令等〕、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」より「扶養控除額及び障害者等の控除額の合計額の計算について」「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の記載例」。いずれも2026年10月31日に確認。この記事は一般的な情報提供であり、個別の税額・控除の可否・診断や治療に関する助言ではありません。ご自身の場合の取扱いは、勤務先の年末調整のご担当者・税務署・市の窓口・相談支援専門員など専門機関にご相談ください)